「消えていなくなってしまいたい」と思っていた講談師・七代目一龍斎貞鏡が明かす過去「子どもたちには逃げ道を作ってあげたい」
「ここまでよく生きてこられた」と過去を振り返る講談師の七代目一龍斎貞鏡さん。思春期のころに経験したいじめから、今もマイナス思考に流されてしまいそうになると言います。(全3回中の3回) 【写真】「前髪パッツンでかわいい」七代目一龍斎貞鏡さんの幼少期から横顔美しい高座での姿まで(全10枚)
■友達に「死ね」と言われて ── 堂々と舞台に立つ姿が印象的ですが、子どものころは真逆なタイプだったそうですね。 貞鏡さん:もともとマイナス思考で、人前に出るのも怖くてたまらなかった。この性格もあってか、思春期にいじめられることもありました。
女子特有のグループがありますよね。私は、はぶかれ、仲間はずれにされることが何度かありました。友達に無視されて「死ね」と言われ、母も厳しかったので、家にいても休まりませんでした。「私なんてもういいんだ」と思って、ふとした瞬間に「もう消えていなくなってしまいたい」と思うこともありました。 ── いじめられていたことを誰にも言わなかったのですか。 貞鏡さん:はい。嫌で嫌で指を噛んだり、顔を引っかいたりしていたので、皮膚がボロボロになっていましたけど、母に悲しい顔を見せたくないと思っていました。それに、「いじめられるあなたが悪い」などと怒られるかなと思うと、何も行動ができなくなるほどの小心者なので、私が耐えたらいいんだと思っていました。今振り返ってみても、ここまでよく生きてこられたなと思うくらいです。人間って強そうに見えて、そんなに強くないと思っているので、自分がした経験を子どもたちにはさせたくないですね。わが子には逃げ道を作ってあげたいです。
── 4人のお子さんを育てているなかで、ご自身の経験が活きていることはありますか。 貞鏡さん:子どもたちには「何かあったらいつでも、何度でも、いくらでも逃げていいんだよ」と伝えています。逃げることは恥ではないですし、とにかく命を大事にしなさいということをことあるごとに言っています。幼稚園や習い事などで「こんなことがあった」と子どもが落ち込んでいたら、まずは子どもの話、気持ちをしっかり最後まで聞くように気をつけています。