中国株の下落は資金流出のせいではなく、景気の弱さを反映しただけ! 中国はテクノロジーやインターネットが強く、CQQQやKWEBならETFで分散投資が可能
●「中国株が下落している一方、日米株が上昇しているのは、中国から日米に資金が流出しているから」という見方は、中国の実態と合っている? 元フィデリティ投信トップアナリストで、米国・シアトルからメルマガ&オンラインサロン「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう! 」で情報配信をしているポール・サイさんが、東京MX2で毎週月曜~金曜22時から放送されている、「WORLD MARKETZ」に電話でゲスト出演した。 【詳細画像または表】 前回の放送では、新NISAのメリットデメリットをポールさんなりの視点で紹介し、エヌビディアに早くから注目できた理由や、ポールさんのメルマガのポートフォリオが昨年、60%近くのパフォーマンスを出せた理由を教えてくれた。 【※関連記事はこちら! 】 ⇒新NISAのメリットデメリットは? エヌビディアに早くから注目し、昨年60%近くのパフォーマンスを出せた理由とは? 今回の放送では、中国をピックアップ。「中国株が下落している一方、日米株が上昇しているのは、中国から日米に資金が流出しているから」という見方は、中國の実態と合っているのか、台湾系アメリカ人のポールさんが解説してくれたので、さっそくチェックしていこう。 ●アメリカのバレンタインデーの過ごし方は日本のクリスマスに近い 番組冒頭は、放送日の翌日(2月14日)がバレンタインデーということで、アメリカのバレンタインデーの様子や、ポールさんのバレンタインデーの思い出の話題に。 台湾系アメリカ人のポールさんが台湾にいたのは小さい頃だけで、小学生時代のバレンタインデーの思い出は特にないとのこと。 ただ、アメリカでは小学生でもバレンタインカードだったり、小さなハートの形のお菓子を交換したりするそうだ。 また、中高生になると学校主催のクリスマスパーティーやバレンタインパーティー、プロムという卒業パーティーみたいなものがあるそう。バレンタインデーでは男性が女性を誘わなければならないため、15、16歳の時に勇気を出して女性を誘ったという思い出を教えてくれた。 すると、アシスタントの木村カレンさんが「バレンタインデーで男性が女性を誘うというのは、日本とだいぶ過ごし方が違いますね」とコメント。 ポールさん曰く、アメリカのバレンタインデーは恋人と食事して贈り物をしたり、バラを贈ったり、どちらかというと日本のクリスマスに近いかもしれないとのこと。 ポールさんが大学生の時に部屋に帰ったら、いたずらなのか、バラが机の上に置いてあったこともあったそう。バレンタインデーは男女問わず告白する日でもあり、ポールさんも女性にラブレターを送った経験があるという。 それを聞いた番組MCの渡部一実さんが「おモテになられた」とチクリ。それに対して「そこが聞きたくて仕方がない渡部さん」と軽くツッコミを入れる木村さんだった。 ●中国株の下落は資金流出というより、中国景気の弱さを反映してモノの値段が下がっただけ 続いては中国の話題に。 日経平均が3万8000円に入ったり、アメリカの株式指数が史上最高値を付けたのは、どうも中国の人が中国株に飽き足らず、日米に資金を入れているというような話が聞こえてきていると渡部さん。 中国からなぜそんなに投資家の資金が逃げているのか。経済、政治などいろいろな理由があると思うが、現在の中国株の弱さをポールさんはどう見ているのかを質問した。 【※関連記事はこちら! 】 ⇒中国のお金持ちは国外に資産を逃がしている! 中国株では大規模な売りが加速! 過度に売られた中国株に買いチャンスはあるのか? ポールさんはまず、中国から資金が流出しているのはいくつか理由はあるけれど、中国株の下落とは別問題なのだと指摘した。 中国では不動産業界が不景気で、それに伴って景気全体が弱くなっているそう。 中国株の下落は景気の状況を反映しているだけで、資金流出というより、モノの値段が下がってきたということのようだ。 日本で不動産バブルがはじけた後、調整に時間かかったように、中国でもエバーグランデなどの問題が発生して、調整が長引いているという。 以前、アメリカで地銀の問題があったが、それはどちらかというと会計的でテクニカルな問題で、一旦解決したら話題にならないのが普通とのこと。 それと比べると、中国の問題は根っこが深い問題で、調整するのに時間がかかり、株価も下がってきているようだ。 また、政治的な問題もあるとポールさん。数年前にアリババのジャックマーが政府を批判し、公の場から姿を消したほか、最近も学習塾の規制やゲーム会社の規制などがあって、インターネット関係の株が少し下落したとのことだった。 ●中国はカメラの監視が強化され、現金はほぼ使えず、長距離電車に乗るには身分証明書が必要。安全のためにお金を海外に移している 加えて、中国社会ではマインドが緊張するようになってきたとポールさんは指摘した。 中国ではコロナを機に、カメラによる監視がすごく強化されたとのこと。また、現金はもうほぼ使えない状態で、WeChatという携帯のLINEみたいなもので支払いうほか、長距離電車に乗るには身分証明書を提示しなければならないなど、政府のコントロールが厳しくなっているようだ。 そういったこともあって、中国の人が安全のためにお金を海外に移しているのではとポールさんは考えている。 中国で「潤」という言葉の発音は英語の「run」に近いのだが、本来の潤うという意味ではなく、海外にお金を移す(run)という意味で使っている人が多いとのこと。 ただ、お金を海外に移しているのは一部の人だけで、国が危機になる程ではないようだ。 ●中国のリーダーたちはかなり合理的。自分の政権にリスクがあると感じなければ、戦争は起こさない 次は中国の地政学リスクの話題に。 中国から資金が流出しているのは、政治体制によるものだけでなく、台湾有事や米中戦争といった地政学リスクを見越しているからなのか、渡部さんがポールさんに聞いた。 ポールさんは以前、台湾有事の可能性は高いと思っていたけれど、以前の放送でも触れたように、今は中国の軍隊の不正や人事交代の話がいくつかあり、軍自体に問題があるそう。 【※関連記事はこちら! 】 ⇒トランプが大統領になる可能性はより一層高まった! 司法がトランプの立候補を妨害して内戦になる話は、支持する立場で全く別物。中台戦争は短期でなさそう また、中国は景気も弱いうえ、政治に対する不満の声もある程度あるとのこと。 加えて、中国のリーダーたちは昔と比べてかなり合理的なため、自分の政権にリスクがあると感じなければ、戦争は起こさないほうがよくて、そういった感触は習近平(中国国家主席)の発言から見るとわかるとポールさんは語った。 アメリカはアメリカで、今の影響力を維持したいと考えていて、そうしたいのなら戦争という選択肢は取らないようだ。 ●中国はソフトウェアやインターネットが強くPDD、BYD、アリババ、テンセントはオススメ。CQQQやKWEBというETFで分散投資も可能 ここで渡部さんが「上海総合指数が下げているなかで、狙っていい銘柄を教えてほしい」とポールさんに投げかけた。 以前の放送で紹介されたPDDやBYDはそんな下げてないけれど、こういうところを個別にピックアップすればいいのか、渡部さんは気になるようだ。 【※関連記事はこちら! 】 ⇒元グーグルのエンジニアが作った中国のイーコマース会社「PDD」が、アリババの時価総額を抜くほど急成長! 世界株になって、いずれアマゾンのライバルに 中国の全体の指数、例えばMSCIチャイナだと、内需系や銀行、不動産も含まれており、不動産バブルや固定資産投資バブルが弾けた後だけに「逆風ですね」とポールさん。 その一方で、本質的な強みを持つ中国企業もたくさんあり、注目したほうがいいようだ。 ポールさんが子供のころ、周りに中国製のものはほとんどなかったのに、今は中国製のものがすごく多くなったこと。戦争の話に戻しても、海上で戦争するなら、中国は造船のキャパが世界1位であるのに対し、アメリカは作れず日本と韓国に頼らないといけないという意味で、中国は製造業にアドバンテージがあるとのこと。 また、ソフトウェア、インターネット関係にも強みがあるため、海外展開もしているPDD、BYD、アリババ、WeChatを開発したテンセントはオススメできるという。 そのほか、アメリカに上場しているETFで中国のテクノロジー企業に分散投資することも、インベスコのCQQQというETFなら可能。中国のインターネット企業なら、KWEBというETF銘柄を通じて中国に資産を持つことはできるとのことだった。 ●中国政府が個人をかなりコントロールできるようになっているため、共産党政権は今のところ崩れそうにない 最後は、これから中国を見ていく前提として、共産党政権は崩れないと考えてもよいものなのかという話題に。 ポールさんによると、共産党政権は今のところ崩れそうにないという。 なぜかというと、カメラやインターネット、AI、顔認識などで、中国政府がかなりコントロールできるようになっているからだ。 ただ、逆に取れば、パソコンの裏には人が座っているため、誰かが権利の座、王様の椅子を手に入れたら、すぐ一気にコントロールできてしまう可能性も高いとのこと。 そのため、今は習近平が共産党をコントロールしているが、そのコントロールを失ったら、いきなり一気に変わることになりそう――でも、まだそういう兆しは見えていないということのようだ。 中国の時代の変遷はほとんど、外部から攻められたか、国内の不景気で革命が起きたかで、そういう不景気では長い間不満が溜まっていたそう。中国株が下落し始めたのは1年ちょっと前で、時間軸的にも革命が起きるほど景気は悪くなっていないようだ。 もっとも、中国は昔のアメリカのように南北で思想が違ったり、文化のずれやいろいろな矛盾もあるため、共産党政権がひっくり返るリスクは全くのゼロでもないと結論付けた。 ここまで、2月13日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に電話出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。 「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう! 」
ポール・サイ
【関連記事】
- ■カオス理論と株式分析を比較する。株価の動きはカオスだとあきらめるな!市場が織り込んでいないことに気づく思考法とは?
- ■為替は金利差だけでは動かない!2024年は米ドル安・円高!との予想が多かった中、なかなか下がらない米ドル/円はこれからどう動く?
- ■新NISAのメリットデメリットは?エヌビディアに早くから注目し、昨年60%近くのパフォーマンスを出せた理由とは?
- ■中国のお金持ちは国外に資産を逃がしている!中国株では大規模な売りが加速!過度に売られた中国株に買いチャンスはあるのか?
- ■新NISAでオルカン1本だけの投資はお奨めしない!新NISAをフル活用して投資シミュレーションすると65歳ごろの資産残高は4.2億円に!