興南春夏連覇のレジェンド・島袋洋奨が語った149キロ左腕の真の実力、大阪桐蔭に5失点敗戦も将来に期待
<第106回全国高校野球選手権大会:大阪桐蔭 5―0 興南>◇8日◇1回戦第1試合◇甲子園 【一覧】大会2日目までの140キロ超え投手と球速 興南の先発・田崎 颯士投手(3年)は沖縄大会の決勝戦で149キロを計測し、大きく注目を浴びていた。しかし、この日の大阪桐蔭戦では最速143キロにとどまった。177センチ61キロと細身の体型からは149キロを出すパワーはあまり感じられなかった。では田崎の本来の魅力は何なのか考えてみたい。 大阪桐蔭戦では5失点を喫したが、実力は十分にある。右足を高々と上げていきながら、ダイナミックに踏み込んで真っ向から振り下ろす投球フォームの完成度は高く、常時135キロ~140キロの速球は非常に切れ味があり、沖縄大会では5試合で41奪三振を記録したように空振りが奪える球質だ。2回裏にはこの日最速の143キロで三振を奪ったストレートは非凡なものがあった。 さらに120キロ台前半のスライダー、110キロ前後のカーブの切れ味も良い。フィールディング、クイックなど1つ1つの動きを見ても身のこなしも軽快で、速球派というより、総合力の高い左腕という印象だ。 田崎を指導してきたのは同校の島袋洋奨コーチだ。2010年に興南が春夏連覇したときのエースとして、記憶に残っているファンも多いだろう。その島袋コーチは田崎をこう評価する。 「リーチも長いですし、右打者、左打者関係なく、インコースへ強いストレートを投げることができます。球速面はまだ高校生ですし、体の線も細いですので今は求める時期ではないと思っています。沖縄の球場で149キロを出したということで、速球派左腕として見られたかもしれませんが、打者が打ちにくいコースへ強いボールが投げられる、コントロールが良い投手だと思います。これからも1つずつレベルアップすることを期待しています。これまで『投球フォームの開きが早いと思っているので、見てもらって良いですか』といわれれば、一緒にキャッチボールをして投球を見たり、マウンドに立った時の考え方、打者視点の考え方などをアドバイスしてきました」 大阪桐蔭戦では7回途中まで投げて、被安打8、7奪三振、5失点だった。田崎は「2回までは良かったのですが、悔しいです。島袋コーチを甲子園に連れて行く目標は達成できたのですが、1勝を挙げることができず、悔しいです」と試合を振り返った。 島袋コーチは次のステージでも野球を継続する田崎についてエールを送った。「この大阪桐蔭戦の結果をどう受け止めるか。まだまだと思って取り組めるかで成長度合いは変わってくると思います」 強豪校の洗礼を味わった田崎が、これからどんな成長を見せるか楽しみだ。