【朝日杯FS みどころ】混沌とする中から未来のスターは現れるか
かつての朝日杯FSといえば、最も完成度が高い馬が勝つレースだった。 そのためここを勝った馬は3歳になると、成長してきたライバルたちの後塵を拝するケースが目立っていたが… 【ガチ予想】2歳マイル王決定戦「朝日杯FS」をガチ予想!キャプテン渡辺の自腹で目指せ100万円! 直近10年、つまり阪神開催に替わってからは3歳、古馬になってからも一線級で活躍する馬が増えてきている。 典型的なのが2021年の勝ち馬ドウデュースだろう。武豊を背に3戦無敗で朝日杯FSを制すると、3歳になるとダービーの舞台でイクイノックスらの追撃を抑えて勝利。世代の頂点に立った。 その後やや停滞するも、昨年の有馬記念を制して復活。今年に入ってからは天皇賞(秋)、ジャパンCと連勝するなど現役最強馬としての座を確固たるものにしている。 昨年の勝ち馬ジャンタルマンタルもそうだ。 皐月賞こそ3着に終わったものの、NHKマイルCでは2歳女王アスコリピチェーノとの一騎打ちを制してGⅠ2勝目を飾ると、今年の冬には香港マイルへの遠征も果たし、来年以降もマイル界でトップ争いをすることだろう。 つまり、朝日杯FSを制することは輝かしい未来へと繋がっていく。過去10年の朝日杯FS勝ち馬10頭中7頭が3歳以降も重賞を制し、6頭が海外への遠征を果たしている。 来年以降の競馬界を担う未来のスターを見つけるためにも、このレースを見逃すわけにはいかないのだが……今年の朝日杯FSにエントリーした16頭は実力伯仲の混戦模様を呈している。 その中から未来のスター候補の筆頭格と言えば、アルテヴェローチェになるだろう。 牡馬ながらデビュー当時の馬体重は448キロと小柄な馬体の持ち主だが、父モーリス譲りの勝負強さは抜群で札幌でのデビュー戦では勝負所から早めのスパートを打ってヒシアマンらの追撃を凌いで勝利。 2戦目に選んだサウジアラビアRCでは馬体を10キロ増やして臨んだことで走りがパワーアップ。 レースでは最後の直線で大外から猛然と追い込んで、内から伸びてきたタイセイカレントの追撃を凌いで2連勝。 出世レースとなる一戦で重賞初制覇を飾ってみせた。 過去にサウジアラビアRCを制して朝日杯FSを制した馬は3頭と相性が良く、さらに先週の阪神JFでは同じ馬主のアルマヴェローチェが2歳女王となるなど勢いに乗っているのは間違いない。 名手・武豊とともに2歳王者のタイトルを手にするだろうか。 スピード勝負となれば、パンジャタワーが侮れない存在となるだろう。 デビュー戦を快勝して迎えた京王杯2歳Sでは8番人気の低評価だったが、馬群の中段から脚を伸ばしていく形でグングンと前に迫るとそのまま突き抜けて完勝。 距離延長、道悪馬場にも対応するなど、実りの多い勝利となった。 朝日杯FSの舞台は初となるマイル戦なだけに距離延長がカギになるが、先行策を取っても中団から差して来ても勝利しているように脚質に自在性があるのが大きな魅力。 それだけに展開に合わせたレース運びで上位に食い込んできてもおかしくないはずだ。 マイル戦での強さを考えれば、新潟2歳Sの覇者、トータルクラリティにもチャンスはある。 夏の京都開催で迎えたデビュー戦では上がり3ハロン33秒9というキレ味を見せて突き抜けて快勝すると、間隔を開けて挑んだのが新潟2歳S。 ここでは6番人気とあまり人気を得られなかったが、スタートから好位に付けて流れに乗ると、直線で早めにスパート。 すると追い込んでくるコートアリシアンらを凌いで勝利。新潟への遠征もこなし、マイルへの高い適性を示してみせた。 やや晩成傾向のあるバゴ産駒ながら、2戦ともレースセンス抜群の走りを見せて勝ち切ったように完成度の高さは目を見張るものがある。ここでも早めに位置を取って抜け出すという王道の走りで2歳王者の座を掴みたい。 アルテヴェローチェ、パンジャタワー、そしてトータルクラリティらの重賞勝ち馬たちが完成度の高さで勝負するなら、スケール感でライバルを圧倒するのはミュージアムマイルだ。 9年前にこのレースを制したリオンディーズを父に持つ同馬はデビュー戦では出遅れてしまい3着に終わるも、上がり3ハロンのタイムはメンバー最速と末脚のキレに非凡なものを感じさせた。 すると未勝利戦では3番手から流れに乗って快勝。そして距離を延ばした黄菊賞ではスタートから中団で脚を溜めて流れに乗ると、直線で上がり3ハロン33秒7という末脚を繰り出してヤマニンブークリエらを差し切った。 ここまでデビュー3戦すべて上がり3ハロンのタイムはメンバー最速というキレ者。 中山開催のホープフルSよりも京都の外回りコースの方が末脚を生かせるという理由で朝日杯FSを目指すなど、その末脚には絶対的な自信を持っている。ここでも直線一気でライバルたちを蹴散らすか。 最後に世代屈指のポテンシャルを秘めているアルレッキーノに注目したい。 今年の牝馬二冠馬チェルヴィニアを姉に持つ期待馬でデビュー戦こそ2着に敗れたものの、続く新潟の未勝利戦ではスタートから楽に逃げて楽勝。 マイペースの逃げが打てれば強いことを示してみせた。そして迎えたサウジアラビアRCでも1番人気の評価を受けるも道悪馬場に苦戦を強いられ伸びきれずに5着止まり。 ここまで3戦1勝。戦績的にはやや物足りないが、その血統的なスケールに加え、鞍上のクリストフ・ルメールがその素質を高く評価するなど粗削りながら見どころがあるのは確か。大舞台でその才能が一気に花開くかもしれない。 混戦模様だけに、どの馬にもチャンスがある今年の朝日杯FS。果たして未来の競馬界を担うスターはどの馬だろうか。 ■文/福嶌弘
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