ゆうゆうバス、植木循環ルート廃止へ 熊本市 6月からAIタクシー導入 姿消す「区バス」
熊本市は、コミュニティーバス「ゆうゆうバス」の植木循環ルート(北区)を6月末に廃止する。慢性的な運転手不足に加え、働き方改革関連法を受けた運転手の労働環境の見直しが要因。市は代替策として、6月中旬に人工知能(AI)を活用したデマンド型乗り合いタクシーを北区植木町に導入する。 ゆうゆうバスは2012年度、政令市移行を機に「区バス」として9ルートで運行を開始したが、利用低迷による収益の悪化で順次廃止。唯一残っていた植木循環ルートの廃止で姿を消す。 同ルートの22年度の利用者数は1万3848人で、1日平均約57人。運行経費に占める運賃収入の割合を示す収支率は21・7%で、赤字分は市が全額補塡[ほてん]していた。最終便が午後3時台で、地域住民から「通勤や通学に使えない」といった声が出ていたほか、既定の運行区間では植木町全域をカバーできない課題もあったという。 新たに導入するAIタクシーは乗客8人乗り。通勤・通学で利用できるよう運行時間を午前6時~午後9時とする方針。停留所は公民館や病院、スーパーなど住民の希望に応じて設定し、AIが予約に応じて効率的なルートを選択する。
利用予約は電話かインターネットで受け付ける。料金は1日ごとの定額とする。運行は植木町のタクシー事業者に委託する方向で調整しているという。 市移動円滑推進課は「JR植木駅との結節機能を強め、住民の移動手段を確保したい」としている。(上村彩綾)