火星で巨大火山を発見、裾野は約450kmでエベレストより高く活動期間は37億年超、米学会
おそらく1000万年前にも活動
研究チームは過去半世紀に作成された火星軌道ミッションの地図一式を使い、堆積した火山の噴出物が、氷河によって侵食された領域に焦点を当てた。その噴出物はどこから来たのだろうと不思議に思い、研究チームは近くにあるノクティス・ラビリントスの東側を調べた。 すると、「驚くべきものが見つかりました」とリー氏は振り返る。彼らが見立てた地形は侵食された火山で、頂上には部分的に崩壊した大釜のような穴が開いており、古い溶岩流、一面の火山灰、マグマで熱せられた流水がつくり上げた鉱物もあった。 侵食が進んだ範囲、層状の噴出物、そして(形成時期が広く知られている)ノクティス・ラビリントスの火山の割れ目との比較から、この火山が最初に形成されたのは37億年以上前で、その後、比較的最近の活動としては、おそらく1000万年前、マグマが上昇して噴火が起きたと研究チームは考えている。 「私たちが見ているのは、火星の地質学的歴史の大部分にわたって活動してきた火山です」とリー氏は話す。また、氷河があったことで知られる地域に熱源が長期間存在したことは、この地域が将来探査すべき場所であることを示唆している。かつて温水がたまっていた可能性があり、ロボットを送り込めば、微生物の痕跡が見つかるかもしれない。 しかし、リー氏の自信とは裏腹に、確信を持てない科学者もいる。噴火の堆積物や火山の地形とされた特徴は、火山性と断言できるわけではなく、それらにつながりがあるかどうかもまだわからない。 「これが火山だと確信するには不十分です」と米バッファロー大学の惑星火山学者トレイシー・グレッグ氏は話す。「埋まってから侵食された衝突クレーターも同じように見える可能性があります」 火星に見過ごされていた巨大な火山があるという説は魅力的だが、これが本当に大発見かどうかを確認するにはさらなる証拠が必要だ。
文=Robin George Andrews/訳=米井香織