旧車も安心して走れる時代に! フェラーリの往年の名車「テスタロッサ」の乗り心地をモダンにアップデート!? “最新サスペンション技術”のスゴさとは
旧車らしさを保ちながら走り味を現代の性能にアップデート
旧車を購入したり維持したりする上でネックとなるのは、パーツ供給への不安でしょう。最近は、自動車メーカーが一部モデルを対象に旧車パーツの再生産をおこなっていますが、まだまだレアなケースといわざるを得ません。 【画像】「えっ…!」これが往年の名車「テスタロッサ」の走りをアップデートするスゴいサスペンションキットです(12枚)
そんななか、パーツメーカーから性能向上を謳った旧車向けの新パーツが登場しました。ドイツのサスペンションメーカーであるKWが、フェラーリ「テスタロッサ」向けの新製品を投入したのです。 単に「テスタロッサ」に適合するサスペンション、というだけでなく、現在の技術を用いることで、「テスタロッサ」が現役だった1980年代では成し得なかった、乗り心地と走りを実現させたと謳われています。 「クラシックカーの魂を守りながら、現代の性能を引き出す」……これがKWの掲げる今回の開発理念です。 新開発されたKW「V3クラシックサスペンション」は、「テスタロッサ」のハンドリングや直進安定性、さらに低速時の乗り心地を大幅に向上させている模様。なかでも特筆すべきは、フロントアクスルに装着可能な油圧リフトシステムの設定でしょう。 ボタンひとつで車両のフロント部分を最大45mm持ち上げられる同システムにより、段差や傾斜といった都市ドライブでの悩みのタネが一気に解消されます。なお、65km/h以上での走行時には、自動で通常の車高に戻るといいます。 ●走りだけでなく“見た目”にまで配慮 フェラーリ「テスタロッサ」といえば、計6本のショックアブソーバーを採用する特殊なサスペンション構造が特徴的です。 KW「V3クラシックサスペンション」は、そんな独特の構成を活かしながら、各ダンパーに最新のマルチバルブテクノロジーを搭載しています。同機構はハイスピードバルブとローズピードバルブを組み合わせることで、あらゆる走行シーンで最適な減衰力を実現。路面からの衝撃を瞬時に吸収して車体の安定性を確保する一方、スポーティな走行特性も維持するスグレものです。 また、同サスペンションの魅力として、リバウンド(伸び側)とコンプレッション(縮み側)の両方を調整でき、ドライバーの好みや走行スタイルに合わせた細かなセッティングが可能になっていることも記しておくべきでしょう。 リバウンドの調整では、路面との接地感やスプリングの復元速度をコントロール。強めに設定すればダイレクトな操縦感を得られ、弱めにすればマイルドな特性となります。一方、コンプレッションの調整では、コーナリング時の車体の挙動を最適化できます。 「V3クラシックサスペンション」は、こうした機能面だけでなく、見た目の美しさにも配慮されています。「KWクラシックライン」という、スプリングやスプリングシートなどを黒で仕上げたバージョンも用意されており、「テスタロッサ」の優美なデザインとの調和を図ったと謳われています。 ちなみにKWでは、かつてクラシックカー向けのサスペンションは同社のカスタムビルド部門でオーダーメイドしていました。フェラ―リでは「F40」や「365GT 2+2」に対するオーダーが多かったそうです。 「テスタロッサ」向け新製品の投入は、商売的に勝算があることを見越してのことだとは思いますが、クラシックカー向けの新製品って意外と見落とされている分野かもしれませんね。 「テスタロッサ」をベースとする「512TR」や「F512M」向けのサスペンションはまだKWではラインナップしていませんが、これら名車への展開にも期待が持てそうな気がしてなりません。
古賀貴司(自動車王国)