“007”が中日のドラ1、小笠原に驚愕。球威は藤浪、大谷級!
中日のドラフト1位のルーキー、小笠原慎之介(18)が9日、沖縄・北谷キャンプで初めてキャッチャーを座らせてストレートだけを33球を投げたが、スピードガンは最速146キロを示した。キャンプ2度目のブルペンでベールを脱いだ、その衝撃のボールに偵察にきた他球団のスコアラーからは「ボールの力は藤浪、大谷級」の声が上がった。小笠原の存在感が、ストッパー候補ファン・ハイメ(28)の調整不足で2軍落ちというチームの暗いニュースを吹き飛ばした。ソフトバンクの高橋純平をクジで外し、再度外れ1位で、日ハムと競合した末に谷繁監督が引き当てた夏の甲子園の優勝左腕が、中日の救世主に変わるかもしれない。
使い古された表現になるが、そのボールは、まさにうなりをあげていた。 「体重が乗った」というボールに、右打者のアウトコース低めに構えたキャッチャーのミットは微動だせずに「パン!」と凄い音を響かせた。腕が振れ、小笠原の肉体がダイナミックに躍動していた。 左肘に不安を抱えているため、まだ2度目のブルペンというスロー調整。キャッチャーを座らせた本格ピッチングも、この日が初めてだというのに、涼しい顔をして最速は146キロをマークした。しかも、「146キロ? そんなに出ていたのかと思いました。今日は6、7割くらいの力。最後の3球だけは全力に近いですけど」と、言うのだから、末恐ろしい。森ヘッドコーチが、「次は150(キロ)だな」と声をかけていたが、ピッチを少し上げれば、簡単に150キロを超えてしまいそうだ。東海大相模での最速は152キロだったが、さらにスピードが増す予感さえ感じさせた。 「立ち投げでは、抜けたボールが多かったですが、今日は、思ったよりもボールが低めにあつまったのは良かったです。気持ちよく投げることができました」 キャッチャーの真後ろから谷繁監督がそのピッチングを見ていたが、「あまり気にならなかった」と言う。萎縮することなく思い切り腕を振って投げ込んだのだからハートの方もかなりの大物である。 「指にひっかかりすぎてワンバウンドになったボールがあったので、そこを調整していかねばなりません。右足のステップに対して、まだ上半身がついてきていないのでなおしていかないといけないと考えています」 たった33球のピッチングの中に、しっかりと課題をみつけるあたり、クレバーさも兼ね備えている。これも成功するピッチャーの条件である。 初の本格ピッチングに驚愕したのが、偵察にきていた他球団のスコアラー陣だ。