女子7割の学校も いま「農業高校」が女子に人気のワケ
学習指導要領の改訂でケーキ作りやペットに関する科目も可能に
農業高校に女子が増えた最大の背景は、学習指導要領の改訂だ。文部科学省産業教育振興室の担当者によると、1989年の改訂で、農業高校での学習内容として「食品に関する科目に食品加工や流通」が加わり、パン作りやケーキ作りの授業が可能になった。「農業」だけでなく、生活・園芸に関する科目にはフラワーアレンジメントが加わったり、バイオテクノロジーが加わったりと、農業高校の学習内容は次第に多彩に。さらに、2000年の改訂で、ペットに関する科目も加わった。 このような変化の背景について、同担当者は「農業高校が、時代の変化に応じて、農家の後継者育成という役割から、農業という題材をキーワードにした科目を教える学校に変化したため」と説明する。「生徒の進路希望も多様化し、大学進学を見据えた支援を充実させたことも、女子が増えた原因のひとつではないか」
メディアで「農業女子」が採り上げられた影響も
近年、「銀の匙(さじ)」や「のうりん」といった農業高校を舞台にした漫画・アニメが人気を博している。農業を題材とする漫画や映画が多く公開され、「女性の先輩が活躍する姿に憧れるといったメディアの影響もあったのではないか」と文科省の担当者は指摘する。農林水産省は、2013年11月より、農業に従事する女性と企業を引きあわせて、さまざまな商品・サービス・情報を発信する「農業女子プロジェクト」を始動した。 男性のイメージだった農業高校。いつのまにか女性の多様な可能性を追求できる場と変化していったようだ。 (中野宏一/THE EAST TIMES)