女子7割の学校も いま「農業高校」が女子に人気のワケ
新学期を迎え、新入生が新しい学校へ入学する4月。都内のある農業高校では、新入生の6割以上が女子だった。農家が減り男子生徒が激減する中、農業高校に入学する女子生徒の割合は全国的に増え続けている。かつては、農家を継ぐ男子のイメージだった農業高校。いつ頃からなぜ、このような変化は起きたのだろうか。
男女比が3:7の「農業高校」
東京都世田谷区にある農業高校のひとつ、都立園芸高校(全日制)には、今年143人が入学し、うち88人が女子だった。同校は1994年度に女子の生徒数が男子を上回って以来、一度も男子の生徒数が逆転したことはなく、男女比が3:7程度になる年も多いという。 「農業高校に求められる役割が広くなり、女子が入りやすくなった」と、同校の小堀卓二副校長は説明する。都立園芸高校には、園芸科と食品科と動物科がある。園芸科では、フラワーデザインやバイオテクノロジーについても学ぶことができる。動物科では、犬のトリミングやシャンプーなど動物の世話の仕方全般について学ぶことができるほか、環境についても学習できる。食品科に入れば、パンやケーキの作り方についても学べる。 「パン屋さんやケーキ屋さん、花屋さんといった女の子の夢として人気の分野について学べるのが女子に人気の理由の一つではないか」と、小堀副校長は語る。
農業高校の女子生徒の割合、過去最高に
農業高校の女子生徒の割合が増えているのは、都内だけではなく全国的な傾向だ。昨年12月に発表された文部科学省の学校基本調査詳細版によると、2015年度の農業高校の女子の割合は、48.8%(4万514人)となり、過去最高となった。 農業高校の総生徒数自体は、1992年度の14万2645人から2015年度の8万3040人と約6割に落ち込んでいる。総生徒数が落ち込んだ理由は、男子生徒の激減。都立園芸高校の小堀副校長は、「農家の後継者育成は、農業高校の大切な役割のひとつだが、あまり農家のご子息が農業高校に来なくなった」と語る。その一方で、農業高校に入学する女子の割合は1992年度の31.8%から17.0ポイントも増え、伸び続けているのだ。