Bloomberg

（ブルームバーグ）： 香港政府トップの李家超（ジョン・リー）行政長官は16日、低迷する不動産部門を支え、消費を促す措置の一環として、住宅ローン規制を緩和し、酒税を引き下げると発表した。中国の景気減速が香港経済の重しとなっている。

李長官は年次の施政報告で、一部の住宅物件について購入者が借り入れできる融資額を引き上げるほか、投資による居住権取得プログラムを拡大すると表明。

また、観光客の減少と消費低迷に苦しむサービス産業の活性化を目指し、蒸留酒の税率を大幅に引き下げることも明らかにした。

李長官は「われわれは発展の勢いと自己改革を維持し、変化を受け入れながら原則を堅持し、革新的かつ柔軟に課題や機会に対応していかなければならない」と述べた。

香港の１－６月（上期）の成長率は輸出の好調が寄与し、政府予測の2.5－3.5％のレンジを維持したものの、不動産価格の下落や消費低迷がセンチメントを圧迫している。

米利下げに加え、最近の中国政府の景気刺激策が若干の救いとなる可能性はあるが、中国の景気減速と地政学上の不確実性も香港の成長見通しに影を落としている。

今回の施政報告は、低迷する不動産セクターが焦点。香港の住宅価格は2016年以来の安値近辺を推移している。

李長官は全ての居住用不動産のＬＴＶ（評価額に占める借入金の割合）を70％にすると表明。この変更により、ＬＴＶが従来60％だった3500万香港ドル（約６億7200万円）を超える住宅の頭金要件は軽減される。会社所有物件のＬＴＶも60％から70％に引き上げられる。

居住権取得プログラムの拡大により、5000万香港ドル以上の住宅購入も移住に必要な3000万香港ドルの投資の一部と見なされることになる。住宅用不動産はこれまで適格の投資対象に含まれていなかったが、そうした不動産を取得すれば要件の３分の１が満たされるという。

不動産市場を支援するため、香港政府はこの１年にわたり住宅購入制限の多くを撤廃し、不動産購入税を削減した。住宅価格は今年に入りやや持ち直したものの、その後は16年以来の低水準に落ち込んでいる。