【骨髄バンク登録】教育機関と連携強化を(12月3日)
白血病患者らへの骨髄移植を仲介する骨髄バンクで、県内提供者(ドナー)の登録者数は2023(令和5)年度末現在、1万4048人となり、10年間で1500人ほど減少した。登録可能なのは54歳までという年齢制限があり、若い世代をいかに取り込むかが大きな課題となっている。教育現場での制度の周知と協力呼びかけを強める必要もあるのではないか。 県内のドナー登録者は2013(平成25)年度から7年間、おおむね1万5千人台で推移していた。献血に合わせた登録会の頻度が新型コロナ禍で減少したことが落ち込みの要因と、県はみている。ドナーの対象は18歳から54歳までだが、今年10月末現在、10代81人、20代1266人、30代3812人、40代6038人、50代2839人で、40代以上が全体の6割を占める。移植を待つ患者とドナーの白血球の型が適合する割合は数百から数万分の一とされ、県内では約20人が移植を求めている。救える命を無にしないため、ドナーの青年層を厚くする活動が重要になる。
少子化が進む中、小中学生への意識付けも大切になるだろう。県は骨髄バンクの意義を伝える「出前授業」を要請に応じて行う態勢を整えているが、学校側からの申し込みは低調だという。県教委、市町村教委と連携を深めて対応を強化してもらいたい。登録時からの流れや、「骨髄採取で生じる症状は通常速やかに回復する」(厚生労働省などのパンフレット)といった情報を分かりやすく紹介する教材を作製し、体育や道徳の時間に解説してはどうか。 骨髄を提供する際は、4、5日程度の入院が必要になる。県は、休業期間の減収を補塡する市町村に対して経費の半額を助成する事業を実施している。導入したのは中通り19市町村、浜通り4市町、会津2市の計25市町村で、地域的なばらつきが目立つ。県には「居住地に制度がないため、骨髄提供を諦めざるを得ない」といった声も届いており、早急な対応は行政の責務と言える。 一方、骨髄提供時の休暇制度を導入したのは県内で5社・団体にとどまっている。経営側は社会貢献の観点からも、社員が気兼ねなく骨髄提供に臨める環境整備を検討すべきだ。(菅野龍太)