T-BOLAN上野博文、くも膜下出血で3カ月意識不明から、ステージ復帰の奇跡
何か一つを見つけてそれに向かっていけたら
そして16年12月、「T-BOLAN」の一夜限りの再結成カウントダウンライブのステージに立った上野は、「ステージに立てることさえできればいい」という周囲の予想をはるかに超える4曲を演奏し、他のメンバーやファン、スタッフを驚かせて“奇跡の男”と呼ばれた。 今年7月の30周年のアニバーサリーライブでは、『離したくはない』や『刹那さを消せやしない』といった本編の6曲にアンコールの2曲を加えた計8曲に参加。 完全復活に向けてさらなる進化を遂げているが、「久しぶりなんで、ちょっと緊張したのですが、うれしいとか色んな気持ちが入り混じっていました。(演奏は)思ったよりもできたと思います」と笑顔で語る。 高次脳機能障害による失語症などもだいぶ改善されてきた現在、上野は音楽活動と並行して週2日のペースで施設に通いつつ、さらなるリハビリに励んでいる。 「僕が通っているのは障がい者の支援センターのとあるお店なんです。1年間のプログラムとして、同じ障がいを持つ方たちと一から全部やって働きながらリハビリを行っています」 最後に同じ障がいに苦しむ人たちへのメッセージを求めると、上野は「目標だったり、次のステージだったり、何か一つを見つけて、それに向かっていけたらいいんじゃないかなと思います」。 そのうえで、「僕の次の目標は『T-BOLAN』の全曲の全編を弾くことです」と誓った。 (取材/文・三杉武) ■上野博文(うえの・ひろふみ) 1965年5月23日生まれ。栃木県出身。1990年に森友嵐士、青木和義、五味孝氏とともに「T-BOLAN」を結成し、ベースを担当。91年に『悲しみが痛いよ』でメジャーデビュー。