「おむすび」制作陣が語る、平成を描く理由と新たな挑戦とは
橋本環奈が主演する連続テレビ小説の第111作「おむすび」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜日は1週間の振り返り)の放送が9月30日から始まる。放送を前に、制作統括の宇佐川隆史が、本作の舞台を<平成>としたことや、脚本に根本ノンジを起用した理由などを語った。 【画像】橋本環奈が激変!衝撃のギャルビジュアル 本作は、福岡県・糸島で農業を営む両親や祖父母と暮らしていた平成元年生まれのヒロイン・米田結(橋本)が、ギャル文化と出会ったことで、“ギャル魂”を胸にやがて栄養士となり、現代人が抱える問題を食の知識とコミュ力で解決しながら、縁や人をむすんでいく“平成青春グラフィティ”。初週は、金髪・ミニスカなどド派手ファッションに身を包んだギャルたちとの交流を通じ、結が“ギャル魂”に魅せられてゆく姿が描かれる。
本作の時代設定を<平成>としたことについて、「それまでの3作が平成以前の時代設定で、かつ実在のモデルがいた作品でした。今回は一度現代を描くか、逆にもっと昔の時代を描くといいなと思っていました。また、朝ドラの可能性を広げるという意味でも、最近の朝ドラとは少し違った作風に挑戦したほうがいいと思ったんです」とその理由を明かす。
<平成>のイメージについては、「失われた30年と呼ばれた時代ではあるんですが、その時代を実際に生きた自分たちからすると、『それでもなんとか生きてきたし、なんなら楽しかったよね』って思える時代でもあった」と話す。さらに、「今というものに過去が繋がっているなら、平成を描くことで、『だから今も大丈夫、楽しんでいこうよ』というストレートなメッセージを届けられると思ったんです」と続け、「『楽しかったよね、頑張ったよね』という肯定できるドラマを見せたい」と、平成を描くことで今を元気付けたかったという思いを明かした。
脚本を担当するのは、「正直不動産」でタッグを組んだ根本ノンジ。宇佐川は根本について、「非常に人気の町中華の職人のような人」と紹介し、「実は今回のドラマを料理に例えるなら、美味しい町中華のようなテイストにしたいって思っていたんです。強い火力で元気よく炒めたものだけど、その奥には本物が潜んでいるみたいな」と本作に込めた思いを説明する。 「昨今の朝ドラは、考証考察、セリフの繊細さがよく取り上げられますが、根本さんはそれとは違って、とにかく自分の書いたドラマを楽しんでもらいたいという視点でドラマを構築していくタイプ。1週目を見てくださればすぐわかると思いますが、ど真ん中な(シンプルで面白い)作品に仕上がっていると思います」と自信を覗かせる。「今の時代だからこそストレートにやっていいんじゃないかという思いから、根本さんと組むことにしたんです。町中華には実は本気が詰まっている。私は根本さんのそういう所に惚れているんだと思います」と語った。 (取材・文:名鹿祥史)