<安彦良和>回顧展「描く人、安彦良和」インタビュー(1) 創作の原点 転機となった「ヤマト」「ガンダム」
「『ガンダム』からアニメを10年続けていました。先日、名古屋でどまんなかアニメ映画祭というものがあって、80年代のアニメを特集していたのですが、いい切り口ですよね。80年代はアニメの大転換期でした。簡単に言うと世代交代が起きた。『ヤマト』以来、我々がやってきたことを見て、若い人がアニメ業界に入ってきた。その代表が庵野秀明さんです」
1980年代の終わり、1989年に公開された劇場版アニメ「ヴイナス戦記」で監督を務めるが、その後、アニメの世界から離れる。同作は公開後、安彦さんが“封印宣言”したこともあって、“幻のアニメ”とも呼ばれていたが、公開30周年を迎え、安彦さんが“封印解除宣言”したことも話題になった。
「新しい波に期待していたけど、実際に波がどっときたら、こっちが溺れて、流されてしまった。こんなに大きい波がくるとは思わなかったんです。もう自分はお呼びじゃないので、退場しました。『ヴイナス戦記』は興行的にも失敗しました。あまりにも非力でした。サンライズとずっと付き合ってきたけど、飛び出して、コスト削減のために、自分の会社でやりました。自由にはなったけど、バックアップがなくなり、孤立するとはこういうことか、俺はこんなもんなんだ……と落ち込んだんです。意地になって、見せてやらない!と封印してしまったんです」
1989年、「ナムジ」で専業マンガ家として活動することになる。その後、歴史や神話をモチーフとしたマンガを数多く描くことになる。
「すごく遠回りしたんだけど、気がついたら40代になって子供の時の夢がかなったんです」
インタビュー(2)に続く