大同特殊鋼が難密着プリント基板用ターゲット材開発。配線形成、基板製造工程簡略化実現
大同特殊鋼は15日、高密着性とエッチング(基板上の膜の一部を薬液で溶かして配線形成する技術)性に優れた難密着基板用ターゲット材を開発したと発表した。密着性と基板製造・配線形成の簡略化により今後の需要拡大が見込まれる5Gアンテナやインターポーザ(複数の半導体チップと基板を電子的につなぐ中継部材)などに使用される微細配線基板の分野で受注拡大を目指していく。 ターゲット材は、電子基板に原子レベルで金属や金属酸化物などを付着させ薄い膜を形成する(スパッタリング法)のに用いられる電子部材。近年は情報処理に関する多くのシステムや技術で膨大なデータを迅速に処理するため、高性能かつ低消費電力の電子デバイス、電送経路を短縮させた微細配線などのニーズが高まっており、伝送ロス削減のためポリイミド樹脂などの低誘電基板の適用が進んでいる。 配線材料の銅は基板との密着性が低く断線リスクが高いため密着膜が必要。これまで密着膜には一般的にチタン膜が使用されているが、チタン膜は銅と同じエッチング液で配線できないため2回のエッチング工程が必要になる。 今回開発したターゲット材は銅エッチングと同じ一般的な塩化第二鉄が使用できるため、3層(密着層、シード銅層、めっき銅層)の一括エッチングが可能。製造工程を一部省略でき、量産工程の早期立ち上げに貢献できる。密着特性も従来のチタン材と同等の強度を持つ。 ターゲット材の製造は同社星崎工場で行い、今年4月に販売を開始する予定。ポリイミド樹脂などの密着性と配線形成のしやすさを両立したターゲット材を新たにラインアップに加え、情報処理機器用半導体パッケージ基板、インターポーザ、5G・ミリ波用アンテナ基板などの需要を捕捉。高度化する電子デバイスの普及拡大に貢献していく方針だ。 なお、今回開発したターゲット材は今月22~24日に東京・有明の東京ビッグサイトで開催される「オートモーティブワールド2025」に出展する。