中国、消費者物価の伸び率が鈍化 10月は0・3%上昇 内需低迷が続く
【北京=三塚聖平】中国国家統計局が9日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0・3%上昇した。9カ月連続でプラスを維持したものの、伸び率は9月から0・1ポイント鈍化した。 中国では不動産不況を背景とした内需低迷が続いており、自動車など耐久消費財はマイナス傾向から脱していない。中国政府は、今年の消費者物価の上昇率を「3%前後」に設定しているが、不動産価格の下落が消費を冷やす逆資産効果もあって物価が上がりにくい状況にあると指摘される。 品目別にみると、自動車などの交通機器は5・3%、スマートフォンなどの通信機器は2・1%それぞれ下落した。ガソリンなどの交通燃料は10・5%減だった。一方で、中国人の食卓に欠かせない豚肉は14・2%上昇し、食品価格は2.9%上昇した。 変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数は0・2%上昇で、上昇率は9月から0・1ポイント拡大した。 統計局が同時に発表した10月の工業品卸売物価指数(PPI)は前年同月比で2・9%下落した。マイナスは2年1カ月連続となる。 中国共産党・政府は9月下旬以降、景気下支えの姿勢を鮮明にしており、今月8日には地方政府が抱える「隠れ債務」と呼ばれる簿外債務に関して総額10兆元(約210兆円)規模に上る対策を発表した。統計局は、PPIの先行きについて「政策効果が表れ続けることに従って価格はさらに安定に向かうことが見込まれる」と分析している。