物価高も少子化も安全保障も対策待ったなし…課題だらけの日本、かじ取り役を担う石破新内閣に地方は何を思う?
「異次元の少子化対策」も環境整備の余地はありそうだ。5人の子を1人で育てる薩摩川内市の団体職員女性(39)は、過去に社会的な孤立を感じる時期があった。「女性活躍と言うが、環境が整っているとは感じない。子育て中の親が孤立しない社会を実現してほしい」と訴える。 ◆安全保障 11月には米大統領選を控え、日米両国のトップが同時期に変わることになる。陸上自衛隊奄美駐屯地が開設して5年が経過した奄美市名瀬に暮らすライターの女性(49)は「中国との外交バランスがどう転ぶのか見通せない」と不安視する。 安保環境が安定してこそ観光業などを含めた経済活動が成り立つと指摘。「台湾有事が起きれば、奄美や沖縄への影響は避けられない。現在の南西諸島の防衛体制を維持してほしい」と要望した。 西之表市の区長会で代表を務める男性(66)は「防衛を熟知した大臣と、地方の実情に詳しい総理で頼もしさを感じる」と話す。約10キロ離れた馬毛島では自衛隊の基地整備が進む。「工事で住民への影響が出ていることは確か。地元と国とのつなぎ役になってほしい」と地域の負担軽減につながる政策に期待した。
◆拉致問題 日置市吹上浜で1978(昭和53)年に北朝鮮に拉致された増元るみ子さん=当時(24)=と市川修一さん=同(23)=の家族からは、石破首相が自民党総裁選で掲げた東京と平壌に連絡事務所を設置して交渉の足掛かりとする政策に対し、疑問の声が上がった。 増元さんの弟照明さん(68)=東京=は石破新内閣に「何の期待もしていない」と言い切る。石破首相は、被害者救出に向けた意思表示であるブルーリボンバッジを、総裁選の途中から着け始めた。「あまり関心がないのだろう」。連絡事務所については、「北朝鮮という国が分かっていない」と失望感をあらわにした。 修一さんの兄健一さん(79)=鹿屋市=も「北朝鮮を利することになる」と連絡事務所設置に反対する。かつて拉致議連会長を務めた石破首相に「被害者全員の一括帰国を実現する強い意志を示して」と求めた。
南日本新聞 | 鹿児島