物価高も少子化も安全保障も対策待ったなし…課題だらけの日本、かじ取り役を担う石破新内閣に地方は何を思う?
「地方を守る」と訴えてきた石破茂首相が1日、新内閣を発足させた。経済の疲弊や物価高、安全保障といった課題に、自民党内きっての論客はどのような道筋を付けるのか。鹿児島県民からは、手腕に期待する声や注文が相次いだ。 ◆経済政策 「頑張って働いても赤字。これまでも県選出の国会議員が要職に就くことがあったが、何も変わらなかったように感じている」。米や子牛を生産する鹿屋市の男性(32)は、ため息交じりに話す。飼料や資材は高止まりする一方で、販売価格は十分に上がっていないとし、「安心して経営できるような環境を整えて」と要望する。 霧島市福山の建設業の男性(56)は、新内閣を「期待と心配の割合は7対3」と評価する。石破茂首相が掲げる防災省創設や地方創生策は、公共事業が増えて建設業界にはプラスになるとみる一方で、疲弊する地方経済全体の活性化につながるかは未知数という。「地域全体に好循環が生まれるような政策でなければ意味がない」と注文する。
産業が減る地方では少子高齢化も進む。0歳と3歳の2児を育てる南大隅町の自営業女性(37)は、2人に1人が65歳以上の町の現状に危機感を持つ。町内には小児科がなく、病院通いのために大きな町に引っ越した友人も。災害時に通行止めが相次ぐ道路の整備も課題に挙げ、「地方でも安心して住めるようにし、移住者増につなげてほしい」と訴える。 ◆暮らし 長引く物価高は、特に年金世帯や低所得者の家計を苦しめている。鹿児島市の75歳男性と82歳女性の夫婦は年金だけでは賄えない月が増えた。外出を減らすなど節約しているが、「介護保険料など年々高くなっている。天引きを抑え、手取りを増やす策はできないか」と望む。 生活保護を受けている同市の女性(52)は、2カ月前に事故で脚を骨折し、車いす生活を送っている。「支え合う仕組みがあれば生活も治療もできる。不安なく生きられる制度をこれからも守って」 地域特有の事情にも目を向ける必要がある。会社員の傍ら観光にも関わる西之表市の女性(31)は、離島のガソリン価格に対応を求める。種子島では現在、レギュラー1リットル当たり190円台半ば。「島は車社会で産業への影響も大きい。実情を知り、支援して」と要望した。