巨人 ソフトバンクFAの甲斐拓也と契約合意発表 球団3人目のFA捕手 マー君、ライデルに続く大型補強
ソフトバンクから国内フリーエージェント(FA)権を行使した甲斐拓也捕手(32)の巨人入団が決まった。巨人が17日に契約合意に至ったことを発表した。 甲斐はソフトバンク残留との間で悩みに悩み抜いた上での決断。名捕手だった阿部慎之助監督(45)からのラブコールも響いた。指揮官自ら交渉の席に着き、チームへの必要性を訴えられた。その阿部監督が19年間の現役時代に背負った背番号「10」も提示されたもよう。21年東京五輪や23年WBCなど日本代表では背負った番号だが、重みは全く異なる。阿部監督と、チームの思いが全身に染みた。 甲斐はソフトバンク球団を通じてコメントを発表し、「考え抜いた結果、移籍することを決断しました」と報告。ソフトバンクへの感謝の思いをつづり、「こうしてホークスでのすべての経験を思い返すたびに、本当にホークスを離れていいのか、自問自答を繰り返しましたが、今回、新たな経験をすることで野球選手としての自分をもっと高めたい、という心境に至り、移籍することを決めました」と決断の理由を明かした。 巨人は今季、4年ぶりのリーグ優勝を果たしたが、CSファイナルステージでDeNAに敗れ、日本シリーズ進出はならなかった。今季は岸田、小林、大城卓の3捕手を先発投手との相性を考慮した上で併用しながら戦ってきた。指揮官は11月のトークショーで「来てほしい。絶対的な司令塔が欲しい。絶対的な司令塔がいれば、とてつもない安心感になる」と扇の要のポジションを確立したい思いを明かしていた。 ソフトバンクは残留交渉を重ねてきたが、巨人はソフトバンクを上回る5年総額15億円以上の好条件を提示し、誠意を示してきた。甲斐はチームがハワイへの優勝旅行の間も、国内に残り熟考を重ね、決断に至った。 リーグ連覇を狙う巨人は今オフはFA補強に乗り出し、甲斐を含め阪神・大山、ソフトバンク・石川とともにトリプルアタックを仕掛けていた。大山は阪神残留、石川はロッテへの移籍を決め、思うような補強をできていなかった。だが、15日に楽天を退団した日米通算197勝の田中将の獲得が決定的に。16日には中日を退団した通算166セーブを誇る守護神マルティネスの獲得を正式に発表した。立て続けに大型補強が続く中、FA史上最大の目玉捕手の獲得にも成功。リーグ連覇の先にある常勝チームへの成長へ、なくてはならない扇の要がラストピースとしてはまった ◇甲斐 拓也(かい・たくや)1992年(平4)11月5日生まれ、大分県出身の32歳。楊志館から10年の育成ドラフト6位でソフトバンクに入団。13年オフに支配下選手登録された。「甲斐キャノン」と呼ばれる強肩を武器に18年の日本シリーズでMVP。ベストナインは3度、ゴールデングラブ賞は7度獲得した。侍ジャパンでは19年プレミア12、21年東京五輪、23年WBCの優勝に貢献。1メートル70、87キロ。右投げ右打ち。 ≪FA捕手は球団3人目≫ FAで捕手が巨人に移籍するのは14年相川亮二(ヤ)、18年炭谷(西)に次いで6年ぶり3人目。交換トレードでは82年笹本信二(阪急)、86年有田修三(近鉄)、89年中尾孝義(中)、92年藤田浩雅(オ)、大久保博元(西)、01年吉永幸一郎(ダイエー)、06年実松一成(日)らが加入している。また、04年に野村克則(神)が金銭トレード、05年に西山秀二(広)、12年に中谷仁(楽)が自由契約後に巨人へ移籍した例がある。