ロッテ・小川龍成 二死満塁、バントでサヨナラ勝利/これぞプロの技
球場の誰もが度肝を抜かれた。 7月30日の西武戦(ZOZOマリン)。同点で迎えた9回二死満塁で、守備職人の小川龍成内野手に打席が回ってきた。 【選手データ】小川龍成 プロフィール・通算成績・試合速報 今季はサヨナラ押し出しも決めたことのある伏兵。持ち前のしぶとい粘りを見せるかと思いきや、勝負は初球だった。ボールがベース付近ギリギリに迫ると、同時にセーフティーバントを敢行。完全に意表を突き、三塁を守る西武・山村崇嘉は打球をつかみきれず。小川の小技が光る劇的サヨナラ打に、マリンスタジアムが歓声に包まれた。 この勝利でチームの今季西武戦は開幕から12連勝。翌7月31日も勝利し、プロ野球タイ記録の同13連勝を飾った。重圧のかかる場面でサラリと大仕事をやってのけた26歳は「すごくうれしい。二死満塁になった瞬間、持ち味を出していこうと思った。セーフティーしようと打席に立ちました」と、お立ち台で白い歯を見せた。 ベンチでガッツポーズで喜びを爆発させた吉井監督は「アイデアとしては『セーフティーバントもある』とは伝えてもらっていた。勇気を出してやってくれた」と、興奮気味。8月16日には、このプレーが「7月度スカパー! サヨナラ賞」に選ばれたことが発表された。 悔し涙を力に変えた。 7月27日の楽天戦(楽天モバイル)では、7回に守備固めで途中出場したが、終盤8、9回に痛恨の失策。試合後のベンチでは落胆の表情で涙を流した。それだけに、「仙台ではチームメートに迷惑を掛けた。何としても取り返したかった」。 失敗を糧に成長し続ける背番号57から、目が離せない。 写真=桜井ひとし
週刊ベースボール