数的不利のG大阪ユースが京都橘を下し5勝目
高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024 関西1部は29日に第9節を実施。KYOTO TACHIBANA STADIUMで行われた京都橘(京都)とG大阪ユース(大阪)の一戦は、前後半に1点ずつ奪ったG大阪が2-0で勝利した。 【フォトギャラリー】京都橘 vs ガンバ大阪ユース 今年のG大阪は1年生の頃にプレミアリーグを経験した選手が多いことが特徴。高校年代最高峰のリーグへの帰還を強く願っている。MF10森田将光(3年)はこう口にする。「プレミアに絶対戻したい。後輩のためにも、ガンバというブランドのためにも絶対に戻さなければいけないと思っています。1年生の時にプレミアから落ちて、昨年はもう1回上げなおそうとしたけど上手く行かなかった。“今年こそは”とみんなが共通理解できているので、絶対に上げたい」。 ここまでの試合は取りこぼしが多く、4位に位置するG大阪にとって前期最終節となる今節は勝点3が欠かせない一戦。対する9位の京都橘も今季初勝利に対する想いは強かった。前半から一進一退の攻防が続いたが、試合は時間の経過とともにG大阪へと傾いていく。 「相手が蹴ってくる中、自分たちはボールを繋いで前進していきたい。セカンドボールの回収のやり合いみたいになっていた。そこでボールが持てた時は僕たちのチャンスになっていた」。そう話すのは森田で、MF長田叶羽(3年)と古河幹太(3年)が中盤でマイボールにするとサイドからの仕掛けでチャンスを伺った。 最初の見せ場は前半34分。左サイドでボールを持ったMF15阿児尚哉(2年)をDF3加地莉比斗(3年)が追い越してゴール前にクロス。反対サイドから飛び込んだ森田がヘディングシュートを叩き込み、G大阪が均衡を崩した。 迎えた後半は、G大阪にアクシデントが襲う。後半7分には決定機阻止を取られ、CBの選手が退場。10人での戦いを強いられたが、選手に動揺は見られない。理由についてMF10長田叶羽(3年)はこう明かす。「前期の履正社戦でも2点取ってから、1人退場して10人で戦う経験していた。そこでも無失点で勝っていたのでピッチ内では慌てず冷静に対応できた」。 G大阪は右サイドハーフだった森田を右SBに落とし、4-4-1でブロックを形成することで縦に速い攻撃を繰り出す京都橘をチーム全体でケア。「相手は繋ぐというより、高さやスピードを生かして背後への攻撃を持ち味にしているとみんなが分かっていた。ある程度引いてブロックを作り、相手にスペースを与えないような守り方をしました」(長田)。 粘り強く守備を続けるも数的不利であるため、ボールを持たれる展開を強いられる。21分には左を抜け出したMF宮地陸翔(3年)がゴール前に低いクロス。DF3加地莉比斗(3年)のクリアボールをMF6早苗優介(2年)に狙われたが、加地へのファール判定で難を逃れた。 我慢の戦いが続く中でも「守りに入るのではなく、点も取りに行こうと意識した」(森田)のがG大阪ユースの強かさでもある。後半29分には自陣右で奪ったボールを古河が右前方に大きく展開。受けた中積が数的不利な状況から仕掛けて、ゴール前にボールを入れると反応したのは長田。「1人少ない状況だったけど、中積爲君が一人でも勝てちゃう感じだったので、信じて走りこんだら見てくれた」と後方から走りこんで合わせた一撃がゴールネットを揺らし、リードを広げた。 試合終盤は猛攻を仕掛けた京都橘に押し込まれる場面が続いたが、GK21荒木琉偉(2年)を中心に落ち着いて対処し、逃げ切りに成功。2-0で勝利したG大阪が今季5勝目をマークした。 G大阪が前期の目標にしていた勝点は18。5勝2分2敗の勝点17で、1つ足りなかったが、前期は2勝しかできなかった昨年とは違い、順調に勝点を積み上げているのは収穫と言えるだろう。「欲を言えばもう1勝したかったけど、後期やクラブユースに上手く繋がる戦いができたと思います」と話すのは長田だ。 昨夏の日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会で日本一に輝いた。狙うはもちろん連覇のみ。「こういう試合を勝てるのは凄く大きい」と森田が口にする通り、難しい試合を乗り切った経験は今後に繋がっていくはずだ。 (文・写真=森田将義)