台湾・香港で大人気…1300万人が利用する「観光情報サイト」 日本のソフト・パワーをどう高めるか…起業家が語る信念
ジーリーメディアグループは、2013年10月に設立。台湾や香港からの訪日客向け観光情報サイト「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」を運営しています。「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」の年間ユニークユーザー数は1300万人で、台湾・香港の総人口の約4割以上※が利用しているメディアです。企業や自治体向けにPR事業も展開するほか、日本の特産物を販売するオンラインショップの運営など、日本の魅力を中華圏に発信するビジネスを幅広く手掛けられています。なぜ台湾や香港をターゲットに選んだのか、どんな目的で起業を志したのか、お話を伺いました。 【表】台湾人・香港人が「訪日時に買いたい食品・お菓子」は? 2位「じゃがポックル」、1位はあの行列店のお菓子 ※台湾人口:2326万人(2022年12月)、香港人口:約740万人(2021年) 外務省HPより
起業を決意も…一筋縄ではいかず
―防衛大学校を経て慶應義塾大学に進学。新卒ではテレビ局にご入社されたそうですね もともと自衛隊に入りたいと思って、防衛大学校に入学しました。僕は父の実家が神戸で、阪神・淡路大震災を経験しています。そこで活躍する自衛隊の方々を見て、憧れていたのです。 しかし、在学中にアメリカの国防次官補などを務めたジョセフ・ナイの言葉に出会ったことで方針を転換することにしたのです。曰く、20世紀は軍事力と経済力の時代であったが、21世紀はその国のもつ魅力やコンテンツ、すなわちソフト・パワーが国力になると言うのです。確かに軍事力だけで世界の覇権をとれる時代ではありません。その言葉に共感し、慶應義塾大学に進むことにしたのです。そして、その当時、最大のコンテンツメーカーであったテレビ局を就職先に選びました。 漫画や和食といった日本の魅力あふれるコンテンツを海外に広め、日本のソフト・パワーを高めていきたい―、そう思っての就職でしたが現実はそううまくいきませんでした。CMのスポンサー枠を販売する法人営業の部門に配属となり、在職していた3年間で海外ビジネスにかかわる機会に巡り合うことはできず、それならと起業する道を選んだのです。 退職を決めた2010年当時、中国の経済発展は目覚ましく、日本のコンテンツを輸出するなら中国だろうと考え半年ほど上海に住みました。周りもみんな「これからは中国だ」と言っていましたね。 しかし、実際に住んでみて分かったことは「このマーケットには進出しない方が良い」ということでした。中国は共産党による一党政治であり、情報統制もなされています。国内ではGoogleもYouTubeもFacebookも使えません。せっかく起業しても、日本と中国が繋がることはできません。 ―起業を決意されたあとも、一筋縄ではいかなかったのですね 中国進出に見切りをつけたとはいえ、スマホケースの問屋がたくさんある深圳から仕入れることや、清王朝の古本を日本で売るというようなことも考えましたが、利益が出るイメージは沸きませんでした。シンガポールやタイ、マレーシアでも可能性を探りましたがそれも違うなと思ったんです。 そうこうしているなか、貯金もだんだんなくなってきました。藁にもすがる思いで自分のFacebookアカウントで日本国内の情報を中国語で紹介するページをつくったところ、台湾の方を中心に思わぬ反響があり、フォロワー数が半年で10万人に上り、これをビジネスに発展させられないかと考えたのです。そして生まれたのが「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」でした。