「心が折れそうになる場面が何回も…」代表引退の桃田賢斗、栄光と苦悩の10年。ラストマッチで“幸せな最後”
この大怪我が最後まで大きく響いた。 思うようなプレーができず、東京オリンピックでは予選リーグ敗退。 その後、およそ2年間国際大会では勝利を挙げられず、パリオリンピック出場も逃すこととなった。 そして今年、世界バドミントン国別対抗戦「トマス杯」をもって日本代表を引退することを発表した。 桃田の日本代表引退のニュースは瞬く間に世界を駆け抜け、海外の記者たちも口々に引退を惜しんだ。 マレーシア記者:「稀にみる才能の持ち主だったと思います。引退を知って悲しかったし、寂しくなりますね」 インドネシア記者:「もう日本代表の桃田を見ることはできません。とても悲しいですが、彼の決断を尊重したいと思います」 世界でしのぎを削ったライバルたちは…。
ビクター・アクセルセン(デンマーク):「桃田が引退するのは悲しいと思う。でも彼の決断も理解できます。彼の将来がベストであるように願いますし、彼とコートで戦えたことは本当に楽しかったです」 アンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア):「引退するというのは少しショックでした。桃田とまたプレーする機会があると思っていました」
◆ラストマッチは団体戦
世界中がその引退を惜しむなか、桃田が最後の舞台に選んだのは団体戦だった。 桃田:「僕自身団体戦がすごく好きで…。また頑張ろうって思えたのも今のメンバーがいたからだと思っているので、そういったメンバーに少しでも力になれればと思い、個人戦ではなく団体戦を選びました」
中国で開催されたラストマッチは、異様な熱気に包まれていた。 日本の初戦、会場に桃田が登場すると、「モモタ」「モモタ」と大きな声援が起こる。 スマッシュを打てば「モモタ アイラブユー」と声が飛び、絶妙なヘアピンを打てば割れんばかりの拍手が響き渡る。 会場全体と桃田がひとつになっていた。 迎えた準々決勝。勝てばメダルとなる大一番。 日本は強豪マレーシアと対戦し、1対3の敗戦。 桃田は試合をすることなく、代表最後の大会が終わった。