歩けない、寝たきりの犬が増えている 要因は「平均寿命の延び」だけではない 獣医師が指摘する「品種改良」の問題
歩けなくなったり寝たきりになったりする犬が増えています。ペットの寿命が延びたことが主な要因ですが、獣医師は「それだけではない」と話します。ペットブームの中で生み出された「命」をどう守るのか、動物と飼い主が直面している課題を追いました。 【写真で見る】ペットブームの中で生み出された「命」をどう守るのか
大事な愛犬が「突然歩けなくなってしまいました」
福岡市中央区にある動物病院で診察を受けているメスのパピヨンです。現在19歳、人間の年齢に換算すると90歳を超えています。今年2月に立ち上がることができなくなり寝たきりの状態になったといいます。 飼い主 「それまでは、見えなくても聞こえなくても自分でケージに沿って、転んでも何しても歩いていたのに、急にズリズリし始めて、突然歩けなくなってしまいました。今はもう、うんちも自力で出せなくなっているので、お腹を押してあげたり、出すように手伝ってあげて、残っているのを出してあげる感じ」 医療の進歩やペットフードの質が向上したことで、犬の平均寿命は右肩上がりで延びています。ペットの保険などを提供する民間企業が実施した2021年度の調査では、過去最高の14・2歳となりました。 これは人間で言うと73歳にあたります。(個体差あり) 寿命が延びたことで寝たきりになる犬や歩くことができなくなる犬も増えています。 リライフアニマルクリニック 徳永秀院長 「だんだん足腰が弱ってきたかなと相談される方が多かったりだとか、あとは散歩をいつもは10分20分いけていたのに、5分くらい行ったら戻っちゃうとかそういう方が増えています」
増える「超小型犬」のニーズ
徳永院長は、歩けない犬が増えている要因は、高齢化以外にもあるといいます。 リライフアニマルクリニック 徳永秀院長 「暮らす犬種が変わってきたということも理由のひとつにあると思います。今はトイプードルさんとかポメラニアンさんとか、超小型犬と言われる犬種ですね。品種改良した子たちなので、関節のリスクが元々あったり、股関節が弱いというところもあるので、筋肉を付けていない状態で成長してしまうと、歩きづらい、歩けなくなるということはあると思います」 徳永院長によると、トイプードルやポメラニアンなどの小型犬は、ペット市場でより小さな個体が求められる傾向にあり、ブリーダーが小さな個体どおしを交配させて誕生させている現状があります。こうした「品種改良」によって、元々骨が小さい犬種のため、関節を痛めたり骨折したりしやすいリスクが増しているというのです。