原田知世「自分自身は毎年変化している」 芸能生活40年超で芝居と音楽のバランス探る
1982年のデビュー以来、俳優として、歌手として活躍を続ける原田知世さん。50代後半を迎えた今、仕事との向き合い方について語った。AERA 2024年12月9日号の記事より。 【写真】いつまでも透明感あふれる原田知世さんはこちら * * * よく晴れた日の朝、その音楽に身を委ねると心が満たされ、清々しく前向きな気持ちになる。11月にリリースされた、原田知世さん(57)の最新ミニアルバム「カリン」はそんな一枚だ。 マフラー、クリスマスツリー、季節外れのメロンソーダ……。そんな言葉がちりばめられた全6曲。一枚丸ごと「冬」をイメージしたアルバムで、ミディアムからスローテンポの曲はどれもまるで原田さんが語りかけてくれているかのよう。透明感あふれる声が穏やかに響く。原田さんは言う。 「オリジナルアルバムの場合、アップテンポの曲があったり、スローのテンポの曲があったり、とバランスを考えることが多いのですが、一つのトーンだけで歌うことに私自身も楽しさを感じていて。『冬のイメージで』と企画を頂いて、ぜひやってみたいという気持ちになりました」 ■曲に混じる懐かしさ なかでも、「indigo la End」「ゲスの極み乙女」などで知られる川谷絵音さんが作詞・作曲を手がけた「カトレア」は、原田さんの歌声との相性の良さを強く感じさせる。川谷さんとのコラボレーションは2021年に発表した「ヴァイオレット」に続き2度目だ。 「最初のコラボレーションで震えるほど素晴らしい曲を頂いて、次はどんな曲を作られるのだろうと思っていた」と振り返る。とはいえ、どちらも歌うことが簡単な曲では決してなかった。 「“情熱”は必要だけれど、それは自分のなかだけの静かな情熱で、さーっと抜けるように歌う、そのさじ加減が難しいな、と感じていました。熱唱してしまうと、ちょっと違う曲になってしまう。心の奥にうねりがあるけれど、それは外からはわからない、そんな表現にしていきたいな、と」 「カリン」の収録曲の楽曲制作には川谷さんを始め、藤原さくらさん、sorayaさんら、若い世代の音楽家も参加。彼らの作る曲にはどこか“懐かしさ”を感じることがある、と原田さんは言う。 「リアルタイムではないけれど、きっと昔の曲もたくさん聴かれているのでしょうね。それぞれのフィルターを通し生まれてくる曲のなかに懐かしさを感じることが私にはあって。もちろん、新しさを感じることのほうが多いのですが、時々曲のなかに懐かしい要素が混ざっているのを発見する。そんな感覚ですね」