<桐谷健太>心の“闇”を降りていく芝居は「役者冥利に尽きる」 「連続ドラマW 坂の上の赤い屋根」
現在WOWOWで放送中の「連続ドラマW 坂の上の赤い屋根」で、主演を務める俳優の桐谷健太さん。自身が演じる主人公の敏腕編集者・橋本涼役を「一見、普通の編集者に見えるところから、どんどん変化していく感覚が面白い」と話した桐谷さんに、役作りや作品の魅力、作品にも関わる人の二面性について聞いた。 【写真特集】血まみれの工藤美桜 イヤミスなシーンの数々
◇「ある種の“闇”を芝居で共有」
ドラマの原作は“イヤミスの名手”と呼ばれる真梨幸子さんの同名小説(徳間文庫)。物語は、新人作家が18年前の女子高生両親殺害事件をモチーフにした小説企画を、出版社の編集者に持ち込んだことから始まり、やがて登場人物たちが抱える嫉妬、劣等感、孤独、過去など“黒い感情”の正体と事件の真実が明らかになっていく……。
役作りについて質問すると、桐谷さんは役へのアプローチは「毎回違う」と前置きし、「パッとわかるときもあれば、つかみきれなくて衣装を着た瞬間にスコーンと入るときもある。場合によっては動物のイメージが湧くこともあるけど、自分にしかわからない感覚を信じて、委ねてやっていきたい。その感覚を、俳優という仕事を楽しんでいる感じはあるかもしれない」と向き合い方を語る。
桐谷さんが演じる橋本は18年前の惨劇を引き起こした死刑囚の手記にかつて編集者として関わり、今また小説化にも携わるという闇をはらんだ人物だ。「キャラクターとして捉えず、血の通った、生きている一人の人間である“橋本”として生きられたらという思いが強かった」と考え、「自分の中で純度を高め染み込ませていき、橋本像を築き上げた」とクランクイン前に“完成”させていたと明かす。
「橋本の本性や本音の部分が浮き彫りになる過程で急に変わるのではなくて、何気ない中にもちょっとした違和感や不気味さがある人物にしたかった。実際のニュース番組でも見る『あいさつすると明るく答えてくれる人でした』という人もいれば、『前々からちょっと……』の人もいる絶妙なラインを狙う意図があった。そこを考えながらやると役の鮮度がなくなると思ったので、入る前に築き上げて、撮影中は極力考えずにいこうと決めていました」