<桐谷健太>心の“闇”を降りていく芝居は「役者冥利に尽きる」 「連続ドラマW 坂の上の赤い屋根」
実際の撮影でも「監督と橋本に関する共通認識が最初にできていたのもあって、あまり考えずに橋本として生きられた」と手応えを感じ、「勝手な意見ですけど、今回の役はキャストみんな、役者冥利に尽きる役だったのでは」と分析する。
「自分にもある心の“闇”の階段を降りていくことはしんどいし、つらくもある。でもそこからしか表現できない何かがあって、みんなそこから顔を出しながら演じている感覚があったのが面白い。闇を悪いものと捉えがちだけど、人によっては、実は安心感や自分の中にもあるという親近感を覚える部分でもあると思う。その感じ方も今作の面白さだし、ある種の“闇”を芝居で共有できた感覚があります」
◇“闇の渦”が広がっていく妙味を
本作では人間の二面性にもスポットが当てられているが、桐谷さん自身は「昔の話をされて『えっ、それ俺?』みたいなことは結構あって(笑い)。二面性どころか細胞自体がどんどん変わっていって。自分がやったこととは思えないみたいなことさえあるぐらい」と照れ笑いを浮かべる。
「人は今日の二面性と明日の二面性、毎秒の二面性もあるぐらい複雑というか。まあ単純といえば単純なのかもしれないけど。だから自分で意外にこうだなというよりも、どんどん変わっている感じの方が強い。良い意味で、日々成長というか進化をしているというふうには捉えていますけどね(笑い)」
座長としての心構えを聞くと、「座長じゃなくてもそうですけど、関わる人みんなに楽しんでほしい。遠慮なくみんなに充実してほしいし、楽しんでほしい。その中でも同じ方向を向いて、いいものを作りたい思いが重なったときはうれしい」と笑顔で答える。
本作の魅力について、「見る人の視点によって真実はその数以上にあるというか。捉え方や選択の仕方で変わってくる。そういう意味ではドラマもどんな見方もできるし、『これはこうです』と言い切っていないのがポイント。心の“闇”を抱えている人たちの渦がぶつかって大きくなっていって、見ている側にも及んできそうな面白みもあります」とアピール。