民事調停申し立てた「JASRAC」 批判の声が上がるのはなぜ
広報不足もある?
実は包括契約における使用楽曲の分配方法は変わりつつあります。新しく技術が確立され、サンプルではなく全曲報告が以前に比べて可能になっているのです。すでにNHKや民放テレビキー局、FMラジオ局を中心とした放送局では、サンプリングではなく全曲報告が開始されており、より適切に権利者に分配されるようになっています。 また今年3月からJASRACで、はJ-OPUSという楽曲報告システムを公開し、ネット上で利用曲目を簡単に報告できるシステムの運用を始めています。ただ、PR活動はあまりしていないようで、まだまだ認知度は低いようです。 JASRACは「管理対象としているのは、鳥のさえずりやベートーベン作曲のようなものでなく、著作権が適用される一般的な歌謡曲です。きちんと法律に定められている大切な権利で、著作権者からお預かりしているものですので、しっかりと守っていきたい。」と話しています。また、周知不足の部分に関しては、努力してくとも述べています。 ただ、JASRACのような仕組みがないと、著作権者は個別に対応せざるを得ず労力がかさむことも確かです。作曲者や演奏家の権利を守り、芸術振興のために活動していることも事実なのです。ただ、もう少し公平で透明な権利者への分配方法などを考える必要があるのかもしれません。 (ライター・重野真)