【ライブレポート】UNISON SQUARE GARDEN結成20周年ツアー、ヒットシングルと多彩な演出を通じて示した感謝
UNISON SQUARE GARDENの全国ツアー「20th BEST MACHINE」のファイナル公演が、10月6日に神奈川・ぴあアリーナMMで開催された。 【ライブ写真】シングル曲の連投で20年のキャリアを振り返った全国ツアー(全10枚) 結成20周年記念日の7月24日に東京・日本武道館でアニバーサリーライブ「ROCK BAND is fun」を開催し、同日に初のベストアルバム「SUB MACHINE, BEST MACHINE」をリリースしたユニゾン。今回のツアーではこのベストアルバムの収録曲を中心にしたセットリストを展開し、多彩な演出と合わせてバンドが刻んできた歴史の重みを改めてファンに提示した。 ■ 「シングル曲は僕らの一番ずっしりした足跡」 ステージに登場した斎藤宏介(Vo, G)、田淵智也(B)、鈴木貴雄(Dr)が最初に演奏したのは、メジャーデビューシングルであり前述の武道館アニバーサリーライブの最後に披露された楽曲の「センチメンタルピリオド」。ステージの両サイドのスクリーンには3人の姿が大きく映し出され、客席は大いに沸き返った。「カオスが極まる」ではステージ前方に何本もの火柱が上がり、ユニゾンのライブでは珍しい大胆な演出にオーディエンスからどよめきが起こる。バンドの快進撃の幕開けともなった楽曲「オリオンをなぞる」が終わると、鈴木は自身が着用したロングジャケットの背中にあしらわれた20周年のロゴをカメラにアピールし、大歓声を浴びた。 斎藤は最初のMCで「暑い……バンドを20年も続けると、演奏で炎を起こせるらしいです(笑)」ととぼけて場内の笑いを誘う。そして「今回はシングル曲や有名な曲ばかりでワンマンライブをやってみよう、というツアーで。初めて来てくれた方には優しいけど、『CAPACITY超える』とかじゃないと興奮できないような方には物足りないかもしれません(笑)。でもシングル曲は僕らの一番ずっしりした足跡です。その歴史を精一杯歌って演奏するので、最後まで楽しんでください」と、このツアーのコンセプトを語った。 続く「流星のスコール」ではミラーボールの光がきらめき、ステージ後方に映し出されたバンドのロゴに重なった無数の流星の映像も楽曲の世界観を増幅させる。さらに3人は「リニアブルーを聴きながら」「10% roll, 10% romance」「kaleido proud fiesta」とカラフルで疾走感に満ちた楽曲を連投してオーディエンスの笑顔を引き出していくが、ひと呼吸置いて始まった「春が来てぼくら」で場内の空気が引き締まる。20周年のタイミングを機にこの曲に込められたバンドの思いが改めて語られたこともあり、観客は3人のパフォーマンスからその思いを感じ取るかのようにじっくりと耳を傾けていた。 ■ 「アナザーワールドエンド」で表現した20年分の感謝 3人のジャジーなセッションからは、昨年4月リリースのアルバム「Ninth Peel」の収録曲でテレビテレビアニメ「ブルーロック」第2クールのエンディングテーマに使用された「Numbness like a ginger」が始まった。ライブ中盤で初めて披露されたシングル以外の楽曲にオーディエンスは意外そうな表情を見せつつ、シングル曲とはまた異なるサウンドを体を揺らしながら楽しむ。ここからは同じく「Ninth Peel」に収録された配信限定シングル「Nihil Pip Viper」、そして「いけないfool logic」と、ユニゾンの尖った音楽性を発揮した楽曲が続き、徐々に上がっていくBPMともあいまって場内のテンションが再び上がっていった。その期待に応えるように3人は「Phantom Joke」をドロップ。スリリングなアンサンブルでオーディエンスを存分に翻弄した。 斎藤の「20年分の感謝を込めて」という言葉に続いては、ベストアルバムに収録された新曲「アナザーワールドエンド」が披露された。歌詞やサウンドを通じ、20周年までを支えたファンに向けられたメッセージを奏でる3人にオーディエンスは感極まった様子で目線を向け、その思いに応えるように鈴木はアウトロで立ち上がってドラムを叩く。演奏が終わると、観客はこの日一番長い拍手をステージに向けて贈った。 感動の余韻がアリーナ内に残る中、ユニゾンの3人はソロ回しで次なる曲へつなげていく。不穏なアンサンブルにオーディエンスは固唾をのむが、始まった曲はバンドの快進撃を飾ったアッパーチューン「桜のあと (all quartets lead to the?)」。満員のファンは安堵したように腕を上げた。力強いジャンプを繰り返す田淵に牽引されてアリーナが揺れた「MR. アンディ」、ライブ前半より本数の増えた火柱が場内の熱気を高めた「fake town baby」に続いては、ユニゾンのライブに欠かせない代表曲「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」へ。鈴木は左手を上げたまますさまじい手数のドラミングを繰り広げ、斎藤と田淵はステージ最前方に飛び出していき、客席の狂乱状態をますます上昇させた。 ■ アニバーサリーツアーのあとはシングル携え新たなツアーへ バンドを代表するヒット曲「シュガーソングとビターステップ」では銀テープが発射され、アニバーサリーツアーにふさわしい空気を彩る。曲が終わると、3人は大歓声を送る客席を充実した表情で見渡した。ひと息ついた観客に向けて斎藤は「おかげさまでUNISON SQUARE GARDEN、20周年を迎えることができました」と改めて挨拶し、その言葉に導かれるように鈴木もドラムセットの前に進み出た。続けて斎藤は3人を代表し「観てもらってわかる通り、人間性も音楽性もバラバラのまま始まったバンドがこれだけたくさんの人に愛されているのはまぐれみたいなものです。観に来てくれた1人ひとりの力があったからだと思っています」と、ひたすら3人の音楽を信じ続けたファンに対するまっすぐな感謝を述べた。 「今回のツアーはアンコールなしです。あとちょっとだけお付き合いください」とアナウンスした斎藤に、鈴木は自身のロングジャケットを羽織らせた。笑顔を浮かべた斎藤は、バンドのアニバーサリーを祝うように「crazy birthday」のイントロを奏で、会場のハッピーなムードを高める。こちらも「Ninth Peel」の収録曲である「スペースシャトル・ララバイ」が演奏されたあと、今回のツアーを締めくくった楽曲は、7月の武道館ライブのオープニングを飾った「Catch up, latency」。客席全体の照明が照らされる中、3人は場内の隅々まで目線を送りながら力強い音を奏でた。 ユニゾンは10月2日にリリースした最新シングル「傍若のカリスマ」を携え、2025年1月より新たな全国ツアー「Charisma & Princess」を開催する。またツアー前の11月18日には愛知・Zepp Nagoyaで04 Limited Sazabysと、11月24日には群馬・高崎芸術劇場スタジオシアターでindigo la Endとの対バンライブを開催。12月25日には大阪・インテックス大阪5号館でgo!go!vanillas、SHISHAMO、フレデリック、光村龍哉を迎えてのトリビュートライブ「fun time tribute」も行われる。 ■ セットリスト □ UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2024「20th BEST MACHINE」2024年10月6日 ぴあアリーナMM 01. センチメンタルピリオド 02. Invisible Sensation 03. カオスが極まる 04. オリオンをなぞる 05. 流星のスコール 06. リニアブルーを聴きながら 07. 10% roll, 10% romance 08. kaleido proud fiesta 09. 春が来てぼくら 10. Numbness like a ginger 11. Nihil Pip Viper 12. いけないfool logic 13. Phantom Joke 14. アナザーワールドエンド 15. 桜のあと (all quartets lead to the?) 16. MR. アンディ 17. fake town baby 18. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ 19. シュガーソングとビターステップ 20. crazy birthday 21. スペースシャトル・ララバイ 22. Catch up, latency