【大学選手権】6度出場でV5度の青学大は連覇なるか 1番・尾瀬が好調の早大も戦力充実…担当記者座談会
第73回全日本大学野球選手権大会(報知新聞社後援)が10日、神宮球場と東京Dで開幕する。全国26連盟の春季リーグ戦などを勝ち抜いた27校(九州地区大学連盟は南北2校)が出場。大学日本一を懸けた熱き戦いが展開される。スポーツ報知では、アマ野球担当デスクと全国の担当記者らによる座談会を行い、注目校、注目選手など見どころを語り合った。 デスク(以下、デ) 東京六大学の早大は5校全てから勝ち点を奪う完全V。優勝候補の一角だな。 加藤(以下、加) 1番の尾瀬は打率4割7分9厘で12試合中、8試合で第1打席に安打を放ち、打線に火をつけました。快進撃の象徴です。2番の山県も3割6分6厘の高打率。相手投手はこの1、2番をいかに出塁させないかが、勝負のカギになりそうです。 デ 戦国東都で3連覇を成し遂げた青学大も、2年連続日本一がありそうだね。 浜木(以下、浜) 過去6度の出場で優勝5度、準V1度と大学選手権では無類の強さを誇ります。3月に侍ジャパントップチームに選出されたドラフト1位候補の主砲・西川は今大会、最大の目玉でしょう。卓越した長打力を誇りながらも、春はチーム打撃に徹する姿が印象的でした。不振だったプロ注目の主将・佐々木は「勝った方がV」の中大との最終戦で逆転3ラン。彼が目覚めると、打線の破壊力が格段に違ってきます。 瀬川(以下、瀬) タレントぞろいという点では、大商大も負けていません。リーグ史上最長となる5連覇の原動力となったドラフト上位候補の渡部や、元巨人・谷の歴代最高打率を塗り替えたヒットメーカー・福島大に加え、“広陵のボンズ”こと真鍋ら1年生も沸かせてくれそうです。 浜 帝京大も侮れません。昨秋までは2部でしたが「1部昇格即V」というリーグ史上初の快挙を達成しました。立役者はエース左腕の栄です。最速148キロの直球とスライダーが切れ、春の防御率1・19と安定感を誇ります。 島山(以下、島) サウスポーでは星槎道都大の4年生エース・佐藤にも期待してください。右打者の内角を突くクロスファイアは一級品です。リーグ戦では3度の完封を含む5勝0敗、防御率0・47で30回1/3の連続無失点を継続中です。 有吉 その星槎道都大と初戦でぶつかる仙台大にも、注目の左腕がいますよ。最速152キロを誇る3年生エースの渡辺は「150キロを投げられる変化球投手」を理想型に掲げ、チェンジアップのキレは抜群です。東京Dで白熱した投手戦が見られるかもしれません。 浜 そんな好投手との対戦に燃えそうなのが上武大のドラフト候補スラッガー・荒巻です。春は本塁打3本に、リーグトップの15打点と勝負強さも際立ちます。 島 打者では、東農大北海道の中軸を担う4年生・江川輝琉亜(きるあ)も面白い存在。「輝琉亜」には「アジアのような国外でも輝いてほしい」という思いが込められています。大舞台で「輝」く可能性は十分です。 デ 大学選手権で評価を上げて、ドラフト上位指名―というパターンは多いよね。プロのスカウト陣も全国から集まって、逸材をクロスチェックするから、4年生にとっては“就活”の大会でもある。さて、オススメの話題校はあるかな。 加 共栄大を推します。エース・砂川と今春MVPの捕手・比嘉の4年生バッテリーはともに沖縄の八重山出身で、バッテリーを組んで7年目になるんです。 デ 八重山か。石垣島から2人で埼玉に来たんだね。 加 同校はコロナ禍で夏の甲子園が中止となった20年夏の沖縄独自大会でV。沖縄の頂点に上り詰めながら、あの夏に立てなかった全国の舞台で勝負するんだ―と気合が入っています。 瀬 その共栄大と初戦で激突する関学大は、昨秋までの3季連続5位から見事に復活。今春はサヨナラ勝ち4度と神懸かっています。勢いのままに、ミラクルが起きるかもしれません。唯一の国立大となる和歌山大も熱いですよ。創部100周年の今季、春は完全優勝と圧倒的な強さで全国切符を勝ち取りましたから。 デ 怖いもの知らずの1年生は、誰に注目かな。 加 桐蔭横浜大・梅沢蒼空のフルスイングは一見の価値ありです。藤沢翔陵出身のルーキーは今春、いきなり打率4割5分9厘で首位打者に輝き、4季連続Vに貢献しています。 デ 昨年の大会はその桐蔭横浜大の古謝(現楽天)や青学大の常広(現広島)&下村(現阪神)、明大の上田(現ロッテ)が飛躍のきっかけをつかみ、秋のドラフト1位につなげた。今年はどんなスターが生まれるのか、熱戦をしっかり報じていこう。 ◇座談会出席者 加藤弘士(東京アマ野球担当・編集委員)、浜木俊介(東京アマ野球担当)、瀬川楓花(大阪アマ野球担当)、島山知房(北海道支局)、有吉広紀(東北支局)
報知新聞社