ビットコインETF、なぜ大騒ぎになっているのか? 14.5兆円の金ETFが提供する回答とは
投資家の選択肢を増やす
ビットコインETFがなければ、機関投資家は世界最大の暗号資産であるビットコインに投資するための選択肢がほとんどない。 大半はビットコインを直接保有するためのインフラを持たず、既存の取引所で取引する権限もないため、プロシェアーズ(ProShares)のBITOのような先物ETFか、グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)のようなクローズドエンド型ファンドを通じて投資することになる。しかし、これらの選択肢には高い手数料と複数のデメリットが伴う。 2003年に作られた最初の金ETFが数十億ドル相当の資金を金に集めたことと同様に、ビットコイン現物ETFにも同じことができる可能性がある。 証券会社のバーンスタイン(Bernstein)は調査報告書で、ビットコインの現物ETF市場は2~3年後にはビットコインの時価総額の10%に達する規模になると予想している(ビットコインの時価総額は約9000億ドル)。 MarketVector Indexのデジタル資産商品ストラテジストであるマーティン・ラインウェバー(Martin Leinweber)氏は、ビットコインの現在の取引所残高は約475億ドルに相当するが、ETFが承認されれば、現在すべての取引所が保有している金額の3倍以上の資金がビットコインに集まる可能性があると述べた。 最初の金ETFは金に対する需要を高めた。ビットコイン現物ETFも同じようになるかもしれない。2003年に最初の金ETFがローンチされて以来、金価格は約332ドルから1800ドルまで跳ね上がり、アメリカ市場では約35の金ETFが取引されている。金ETFの運用資産(AUM)は合計1050億ドルに上る。 ビットコインは2023年に155%急騰した。この上昇のほとんどは、ブラックロックが6月にビットコインETFを申請した後に起こった。ビットコインは6月15日の安値約2万5500ドルから、現在は約4万6000ドルまで上昇している。 リンド氏は、金ETFの主な市場は、ファイナンシャルアドバイザーやアセットマネージャーのようなプロ投資家であり、彼らはポートフォリオに初めて金を保有することができるようになったと説明した。 つまり、金ETFに対する需要はそれ以前から膨大に積み上がっており、それがかなりの短期間で指数関数的にAUMに反映された。 ラインウェバー氏は、伝統的な機関投資家が手掛けるビットコイン現物ETFが承認されたことは、暗号資産分野にとって重要な妥当性の承認となると述べた。 「アメリカは現在、ビットコイン現物ETFの面で他国に遅れをとっているため、この動きはウォール街を世界の暗号資産空間でより支配的なプレーヤーとして位置づける可能性がある」 現在、ビットコインETFはすでにカナダとヨーロッパに存在する。しかし、ユーロネクスト(Euronext)のデータによると、欧州のジャコビETF(Jacobi ETF)は8月にローンチして以来、取引高は低迷している。 ブラックロックのような金融機関は、顧客にポートフォリオの一部をビットコインETFに割り当てるようアドバイスする可能性がある。 「ファイナンシャルアドバイザーや機関投資家が、ビットコインETFを、現在の人気ETFと同様に、流動性があって便利だと判断すれば、1%程度、あるいはそれ以上を配分する可能性は十分にある」とラインウェバー氏は指摘する。 「伝統的な金融会社がETFを通じて暗号資産への少額の配分を推奨するシナリオを想像することは突飛な話ではない」とEthena Labsのリサーチ責任者であるコナー・ライダー(Conor Ryder)氏も同意する。 さらに「全体的なポートフォリオ配分の観点からは、非対称的なアップサイドを持つボラティリティの高い資産への小額配分は非常に理にかなっており、今なら自社のETFを勧めて手数料を手にすることができる」と続けた。