石破自民 国民民主の壁に悩む 11日特別国会 首相選出見通しも…年収「103万円の壁」見直し議論
衆院選を受けた特別国会が11日に召集され、首相指名選挙が行われる。与党が過半数を割り込む中、衆院本会議では石破茂首相(自民党総裁)と立憲民主党の野田佳彦代表による決選投票にもつれ込み、石破氏が第103代首相に選出される見通し。 第2次石破内閣は1994年の羽田内閣以来の少数与党で、政権維持のためには、一部野党の取り込みが不可欠。秋波を送る相手は国民民主党で、同党を大躍進させた公約「年収の壁撤廃」を巡る協議をてこに、政策ごとに連携する「部分連合」を構築したい考えだ。 年収が103万円を超えると所得税が発生する「年収の壁」。国民の玉木雄一郎代表は、最低賃金の上昇率に合わせて、非課税枠を178万円へ引き上げることを要求している。 与野党の政策責任者らが出演した10日のNHK番組でも主要な論点となった「壁問題」。見直しの必要性については各党ともおおむね一致したが、税収減への影響を巡り、自民、国民両党が対立。自民の小野寺五典政調会長は、178万円まで引き上げれば、国と地方の1年間の税収が計約7兆6000億円減るとした政府試算を踏まえ、「主に地方にしわ寄せが行く。どういう落としどころで議論できるかだ」と、現実的な議論をすべきだと強調。国民の浜口誠政調会長は「譲る気はない」と強気の構えで「財源は与党の中で議論し、対応してもらいたい」と注文を付けた。 時の首相も口出しできない「聖域」と呼ばれた自民党税制調査会の宮沢洋一会長は6日に「(玉木氏は178万円に)こだわってはいないと理解している」と発言。玉木氏は8日のTBS番組で「財源がないから(引き上げ幅を)下げ、バナナの叩き売りのように低ければ低いほど良いみたいになると意味がない」と、態度を硬化させたように話した。 「自民が全くやらなければ、予算案も法律案も通らない」とけん制している玉木氏は、ガソリン税の一部を下げる「トリガー条項」の凍結解除も要求。政府関係者は「有権者からの期待が大きい分、外れた場合のしぼみ幅も大きい。来夏に参院選を控え、高い球を投げ続けてくるだろう」と警戒。「対応を誤ると、内閣不信任案可決へつながるトリガーを引くことにもなりかねない」と“国民の高い壁”に頭を抱えた。 ≪改革協議呼びかけも維新・馬場代表拒否≫石破首相は10日、日本維新の会の馬場伸幸代表と公邸で会談し、派閥裏金事件を踏まえ、政治改革に関する協議を呼びかけた。馬場氏は、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開などの改革を早期に実現するよう要求。めどがつくまで予算案や法案の成立に協力しない考えを伝え、協議を拒否した。