「大局を見通せたリーダー」「愛国者失った」…渡辺恒雄氏追悼の声、海外からも相次ぐ
読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄氏が死去したことを受け、海外からも別れを惜しむ声が相次いでいる。 【写真】渡辺恒雄氏と語り合う三浦知良選手と後に妻となる設楽りさ子さん=1993年5月
日本政治の研究で知られる米コロンビア大のジェラルド・カーティス名誉教授は19日、読売新聞のインタビューに応じ、「大局を見通すことができるリーダーだった。常に尊敬の念を抱いていた」としのんだ。
カーティス氏は1960~70年代、日本政治の勉強会を通じて、渡辺氏と親交を深めた。当時について、「中心にいながら、一歩下がって客観的に分析し、最善の策を判断できる方だった。多くの政治家から頼りにされていた」と振り返った。渡辺氏が懇意だった中曽根康弘・元首相が参加することもあったという。
67年発行の渡辺氏の著書「派閥と多党化時代」は、カーティス氏が初めて日本語で読んだ日本政治に関する本だ。今年復刊され、新たに購入したばかりだったという。カーティス氏は「渡辺氏と知り合えて、とても幸運だった」と語った。
また、米国のリチャード・アーミテージ元国務副長官も19日、読売新聞に「渡辺氏は巨人だった。日本は愛国者を失った」とのコメントを寄せた。
アーミテージ氏は渡辺氏と2度、食卓を囲みながら意見交換したといい、「自らの意見を恐れずに述べ、それは常に国への愛に根ざしていた」と振り返った。「多くの難題に断固とした姿勢で臨んだが、異なる意見にも敬意を払い、大いに感銘を受けた」と称賛した。(ワシントン 向井ゆう子、阿部真司)