〔海外〕2024年10月の災害を振り返る
2024年10月に発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。 ※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。 ●10月 【自然災害】アメリカでハリケーン「ミルトン」と関連し多数の竜巻が発生 17人死亡 [被害]死者17人 2024年10月、メキシコ湾で発生したハリケーン「ミルトン」は、一時最も強い「カテゴリー5」となったが、その後やや勢力を弱め、10月9日に「カテゴリー3」の勢力でアメリカ南部フロリダ州に上陸した。その後、フロリダ半島を西から東へ横断し、大西洋へと抜けていった。「ミルトン」の接近や上陸に関連して多くの竜巻が発生し、犠牲者が最多となったフロリダ州南東部セントルーシー郡では90分間に12回前後の竜巻が観測された。 一連の竜巻や土砂災害、高潮、瓦礫、切断された電線の影響などで、人的・物的ともに多くの被害が発生した。現在までに死者は17人が確認されており、バイデン大統領は「ミルトン」による被害総額は、専門家の試算で500億ドルに上る可能性があると発表した。 【事故】ナイジェリア北部でタンクローリー事故による爆発 147人死亡 [被害]死者少なくとも147人 負傷者55人以上 2024年10月15日夜から16日にかけて、ナイジェリア北部のジガワ州で、運転を誤ったタンクローリーが横転、漏れ出た燃料が爆発した。この事故で、タンクローリーから漏れ出た燃料を回収するために集まった住民ら少なくとも147人が死亡、55人以上が負傷した。 ナイジェリアでは、電力供給の不安定さにより発電機の利用が多く、その発電機に使用する燃料の高騰により、タンクローリー事故の際に住民が集まり回収する状況が繰り返されている。今年9月8日にも西部のナイジャ州で同様のタンクローリー事故による爆発が発生し、少なくとも48人が死亡していた。 【自然災害】スペイン東部で豪雨 210人以上が死亡 [被害]死者210人以上 2024年10月29日朝(日本時間同日午後)から翌30日にかけて、スペイン東部のバレンシア州や南部アンダルシア州で豪雨が続いた。バレンシア州西部では29日に8時間で1年分の降水量に匹敵する491mmを観測し、一部の地域でも過去20年間で最も多い雨量を観測した。豪雨の原因は北側から地中海への冷たい空気が生み出す寒冷低気圧とされている。 一連の雨の影響で、バレンシア州やアンダルシア州では、複数の河川で氾濫や鉄砲水が発生、特にバレンシア州で多数の被害が発生した。人的被害としては11月3日までに210人以上の死亡が確認され、ライフラインでは一時10万軒以上が停電した。こうした被害の規模は2021年に180人以上が死亡したドイツで発生した洪水を超え、ヨーロッパ全体で見ても半世紀に1度クラスの被害になるものと見積もられている。 また、大きな被害が発生したバレンシア州では国や州政府の情報提供や対応面に対する批判が集まっており、被災地を視察した国王フェリペ6世夫妻には住民から泥が投げつけられるという一幕もあった。
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