藤竜也がNY映画祭初の特別生涯功労賞「愛のコリーダ」上映できなかったNYに半世紀ぶり訪問へ
藤竜也(82)が昨年9月、71年の歴史があるサンセバスチャン映画祭(スペイン)で日本人俳優初となる最優秀俳優賞(シルバーシェル賞)を受賞した映画「大いなる不在」(近浦啓監督、7月12日公開)が、米ニューヨークで開催されるジャパン・カッツへ出品されることが決まった。また藤に、同映画祭として初の特別生涯功労賞が授与されることも、併せて決まった。 藤は「『大いなる不在』がニューヨークで上映され、私に賞までくださるとは! 感無量です」とコメントした。 ジャパン・カッツは、米ニューヨーク・マンハッタンにあるジャパン・ソサエティーで行われる、北米最大の日本映画祭。今年は7月10日から同21日までの12日間にわたって、30本以上の日本映画が上映される。 特別生涯功労賞(lifetime achievement award)は「大いなる不在」の出品を受け、76年の映画「愛のコリーダ」や78年「愛の亡霊」など60年以上にわたるキャリアを持つ、藤の日本映画界における偉大な俳優としての功績と俳優人生をたたえる賞で、同映画祭としても初めての授与となる。 藤は、コメントを発表した。 「まさかニューヨークの映画祭『ジャパン・カッツ』で、私の映画俳優としてのおぼつかない足取りを褒めていただけるとは! 私が以前にニューヨークを訪れたのはおよそ半世紀前で、そのときは大島渚監督の『愛のコリーダ』がニューヨーク映画祭に招かれたのですが、残念ながら検閲が通らず上映ができませんでした。そして2024年、私が参加した『大いなる不在』がニューヨークで上映され、私に賞までくださるとは! …感無量です。」 ジャパン・カッツも「『大いなる不在』は、日本を代表する名優と新進気鋭の監督を結びつけ、記憶、家族、喪失を力強く描いた作品である」とのコメントを発表。現地時間7月18日にニューヨークプレミアとQ&A付上映が開催され、藤と近浦啓監督(46)の登壇も予定している。また7月12日の日本公開に続き、同19日からニューヨーの劇場Angelika Film Centerでの劇場公開も決定した。 ◆「大いなる不在」 小さいころに自分と母を捨てた父が、警察に捕まった。連絡を受けた卓が、妻の夕希とともに久々に九州の父の元を訪ねると、父は認知症で別人のようになっていた。再婚した義理の母も行方不明になっており、卓が父と義母の生活を調べ始める物語。長編映画2作目の近浦監督が脚本も手がけ、森山未來(39)が主演。藤は認知症を患った元大学教授を演じ、森山演じる長年、疎遠になっていた俳優の息子との関係を描いた。サンセバスチャン映画祭シルバーシェル賞の受賞は、藤にとって05年「村の写真集」で上海映画祭(中国)最優秀男優賞を受賞して以来18年ぶりの国際映画祭での俳優賞受賞となった。