【商機】海外で高まる日本茶需要…そのチャンスを捉えようと大きく舵切った若手茶農家の挑戦(静岡・富士市)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
今、海外で日本茶が高い評価を受け需要が高まっています。そのチャンスを逃すまいとチームを立ち上げて海外展開に大きく舵を切った富士市の若手茶農家の挑戦を追いました。 富士市で茶の生産を行う本多茂兵衛さん39歳。富士山の麓で100年続く茶園の5代目です。先祖から受け継いだ茶園を守りながら、ニーズが多様化している今の時代に合わせて様々な品種を栽培しているといいます。 (茶農家・茶師 本多 茂兵衛さん) 「飲んだ瞬間に気持ちがすっと切り替わるものが求められているのかなと思っていて、香りだったり、うまみだったり、色だったり、いろいろなところで気持ちがすっと変わるというのは人によって違いますので、様々なお茶をつくることで、いろいろな人の最高の一杯を届けたいと思っております」 実は本多さん、フランスで放送されたドキュメンタリー番組に出演し、日本の「茶の文化」を伝えるなど、静岡から世界にお茶の素晴らしさを発信しています。 (茶農家・茶師 本多 茂兵衛さん) 「(海外の人は)単純にお茶がどうやって作られているのか、歴史や文化、周りにあるものに興味を持って下さる方がとても多くて」「それを求めてくださる方に届けたいなと思い、始めました」 本多さんは、外国人のお客さんを茶畑に招いて、茶の魅力を伝える活動もしています。そして、茶畑の真ん中に設置された「茶の間」で、入れ方などを丁寧に説明しながら、お茶を振る舞います。 (茶農家・茶師 本多 茂兵衛さん) 「日本茶は、お湯の温度を変えることで、味わいを大きく変えることができます」「このお湯の湯気を見ていただいて、湯気が見えるか見えないかくらいまで待っていただくと、大体60度です」 (アメリカの親子) Q.湯気が見える? 「見える」 温度によって変わる日本茶の味わい…外国人はどのように感じたのでしょうか。 (アメリカの親子) Q.どう思う? 「おいしい」 (モロッコ人の参加者) 「出汁が入っているみたい」「モロッコではミントティーで甘い、日本のお茶はあまりない。~モロッコ人に紹介したいと思うくらい。たぶん気に入ると思う」 現在、日本茶の国内消費は落ち込みが続き、生産をやめてしまう農家も少なくありません。その一方で、海外への輸出は10年前の4倍以上に増加。今、日本茶は、海外にチャンスがあるのです。 そんな絶好の商機を逃すまいと、本多さんは海外への発信力を強化するため、語学が堪能な映像制作のプロや広告会社で働く人などとチームを作り、世界に挑むことにしたのです。その名も「MOHEI TEA」。すでに海外向けに立ち上げたサイトでは月に40万円の売り上げが出るまでになりました。チームメンバーは、販売方法を検討するため知恵を出し合います。この日は、様々な抹茶やほうじ茶を飲み比べて、新商品について話し合いました。 (映像制作プロデューサー 山下 太郎さん) 「思った以上にいいね」 (茶農家・茶師 本多 茂兵衛さん) 「こういうのも欲しい国や文化の人たちが絶対いるから」 ウェブでの発信を担当する広告会社に勤めるロシュさんは…。 (広告会社 IT担当 ロシュ・リョウさん) 「茶業界というのは、もしかしたら古いイメージがあるかもしれないけれど、MOHEI TEAでは、イノベーティブな未来に進むという気持ちを4人で共有して活動している」 この日は、海外向けの情報発信を強化するため、SNSで使う動画を作成することに。 (茶農家・茶師 本多 茂兵衛さん) 「茶商がつくったお茶を呈茶する方々、これを茶人と呼んでいます」 撮影した映像にロシュさんが英語の字幕をつけてPR動画が完成です。 (映像制作プロデューサー 山下 太郎さん) 「お茶の種類とか、かぶせ茶の説明とか、初歩的なことから結構突っ込んだ話まで、意外とみんなそういう話が好きみたいで、それがまた、お茶の認知度を高めると思う」 このような動画も活用して、SNSやYouTubeなど様々な手段を使い、世界に向けて積極的な情報発信を行っているのです。さらに、海外からの情報収集にも余念がありません。この日は、オンラインで、イギリスの取引先に事前に送ってあった商品の感想を聞きます。 (茶農家・茶師 本多 茂兵衛さん) 「私は3回で入れます、回数を臆するほど味が濃くなります」 (映像制作プロデューサー 山下 太郎さん) 「飲んでどう思いますか?どんな印象か教えてもらえますか?」 (イギリスの取引先) 「私がイギリス暮らしていて知っている緑茶と比べて、こちらの方がずっと味に深みがある。香りが素晴らしい」 (イギリスの取引先) 「こっちで売られている緑茶は苦みがすごく強くて、それで敬遠される方が多いです。MOHEI TEAを試したら、もっと賞賛の声が上がると思います」 こうしたやりとりから海外の現状を知り、商品づくりに生かしているという本多さん。海外では「本物志向」の人が増えているため、こだわりを上手くPRすることができれば、販売につながるといいます。そのため、本多さんは、今後、同じようにこだわりを持って頑張っている周りの茶農家とも一緒になって海外に目を向けて、静岡茶の価値を高めていきたいと考えています。 (茶農家・茶師 本多 茂兵衛さん) 「特に、静岡の方々は当たり前にこの飲み物があって~見落としてしまっている部分がすごくあるなと、それがとても新鮮で尊いものだと思ってくださる方が地球の反対側にいるのであれば、その方々のために届けていきたい」