ラストイヤーでM-1決勝進出、双子漫才師・ダイタク コンビの魅力をお笑い研究家が分析
いよいよ今月22日、『M-1グランプリ2024』決勝が開催される。激戦を勝ち上がったファイナリスト9組の中で、ぜひ注目してほしいのが双子の漫才コンビ・ダイタクの吉本大(兄)と吉本拓(弟)だ。 ▪️NSCを首席で卒業した実力コンビ これまで5度の準決勝敗退を経験し、いずれも敗者復活戦からの決勝戦進出は叶わなかった。そんな彼らも今年はラストイヤー。今月4日、準決勝の前日に配信されたニューヨークのYouTubeラジオ「ニューラジオ」に出演時、大が「(筆者注:ウケないよりも)失敗したくないっていうのがデカいね」と口にしていたのが印象深い。 実力を認められながら、ついに準決勝の壁を突破できなかった東京吉本の先輩・囲碁将棋の轍も脳裏を過ぎった。しかし、彼らはそんなイメージを払拭するように、いつも通り息の合った漫才を披露し、念願の決勝進出を果たした。 双子なだけに、顔も背丈もよく似ている。加えて、地上波のバラエティーではあまり見かけないため、“スーツ姿の正統派漫才師”という地味なイメージが先行しているかもしれない。しかし、彼らを少し掘り下げれば、すぐにそんな先入観は打ち砕かれることだろう。今時、ふたりほど芸人らしい芸人も珍しいからだ。 ダイタクのふたりは熊本県出身。少し声の低いほうがボケの大、左の目の下に涙ぼくろがあるほうがツッコミの拓だ。小学校5年で『ボキャブラ天国』シリーズ(フジテレビ系)にハマり、出演芸人であるプリンプリンのコントを漫才にして2歳上の兄の前で披露。翌年には、見よう見まねでオリジナルのネタを作っていたという。 しかし、思春期に入ると気恥ずかしさもあって漫才から遠ざかり、高校卒業後に大は大学進学、拓は山口県の大手スーパーに就職。別々の道を歩み始めたふたりだったが、どちらも漠然と「お笑い芸人になる」と考えていた。大学4年の頃、大が拓に「帰って来いよ」と電話を入れた時点で、お互いの気持ちを察していたようだ。