思いひとつ「甲子園へ」 センバツ21世紀枠県推薦校、八戸西 支援学校生徒とボール修理で交流 /青森
来春の第93回選抜高校野球大会(日本高野連、毎日新聞社主催)の「21世紀枠」の県推薦校に選ばれた八戸西高校野球部が同じ市内にある八戸高等支援学校の生徒と昨年4月から交流を続けている。傷んだ野球ボールの修理を同校の生徒らが行っており、八戸西の部員らは支援学校の生徒の思いのこもるボールで初の甲子園出場をめざし練習に励んでいる。【遠山和彦】 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 八戸西の小川貴史監督(37)は八戸高等支援学校に教諭として勤務。同校に赴任した昨年4月からボールの修理を通した交流を始めた。八戸西の部員らは支援学校の運動部にストレッチ体操など練習のアドバイスを行っている。 支援学校ではボールの修理を担当する「リサイクル班」の生徒23人が週3回の作業学習の授業で、傷んだボールをビニールテープで巻いて直す。毎週、練習で傷んだ約100個のボールにテープを巻いて修理し、八戸西がティーバッティングなどの練習に使っている。 支援学校リサイクル班の同校1年、小貫晃輝さん(15)は「野球部の人に頑張ってほしいと思いを込めて直している。修理をしていることが誰かの役に立っていると思うと頑張れる」。1年の千葉遙斗さん(15)も「ぜひ甲子園に行ってほしい」と話す。 小川監督によると、支援学校の生徒には修理の作業を通して誰かの役に立っていると気づき、自信が生まれるという。また、八戸西の部員にはひとつのボールもおろそかにできないという気持ちが芽生え、ボールだけでなく他の野球道具の取り扱いも丁寧になるなど変化があったと語る。 同校野球部の2年、下井田大和外野手(17)は「修理をしてくれる支援学校の人たちのことを思って『一球入魂』の気持ちで頑張っている」。同じく2年で内野手の宮崎一綺(かつき)主将は「ボールを大切に扱うようになった。支えてくれる支援学校の人たちの思いに応えるためにも甲子園をめざして頑張りたい」と力を込めた。