年金17万円の80歳母、見学10件でようやく決めた「こだわりの老人ホーム」だったが…ある日、20キロ先の娘宅に逃亡した「衝撃理由」
老人ホームからの逃亡理由は「隣人トラブル」
――やっと着いたわ と知子さんの母親。バスと徒歩、3時間かけてやってきたといいます。 ――おっ、お母さん、ホームから電話があって、心配したわよ なぜ母親がこのような行動に出たのか聞いてみると、いわゆる隣人トラブル。隣部屋の入居人は耳が悪く、話し声やテレビの音が大音量。ホームに何度か相談してみるものの、現在契約している価格帯の部屋は満室で、空いているのはハイグレードな部屋だけ。「別の部屋にお願いします」とはとてもいえない金額です。 ――入居しているのは高齢者。程度の差はあれどみなさん耳が悪いので、どうしても「音」は大きくなりがちで…… そう説得されて我慢してきたけれど「もう無理!」と逃げてきたという顛末でした。知子さん、「10軒も見て回ったのに……」と、一瞬、目の前が真っ暗になったとか。 株式会社LIFULL senior『介護施設入居に関する実態調査 2023年度』によると、老人ホームの入居を考え始めた時期として、最も多かったのが「入居する2~3ヵ月前」で19.3%。続いて「入居する4~6ヵ月前」が19.2%がほぼ同数で、「入居する1年前」が16.1%と続きます。 また見学した時期で最も多かったのが「入居する2~3ヵ月前」で26.6%。「入居する1ヵ月前」が24.4%、「入居する4~6ヵ月前」15.3%と続きます。 ではどれくらいのホームを見学しているのかというと、最多は「2ヵ所」で30.0%。続いて「1カ所」が26.5%。一方で「見学は行っていない」が19.7%と、5人に1人は見学をしないで老人ホームへの入所を決めています。 見学数はその後のホームへの満足度にも差が生じていて、「現状のホームに満足」という人に見学したホーム数を聞いたところ、最多は「2ヵ所」で30.87%、続いて「1カ所」が26.90%。「見学していない」は18.69%でした。一方「現状のホームに不満」という人の場合、最多は「見学していない」で29.03%。「1カ所」22.58%、「2ヵ所」20.97%と続きます。やはり見学をせずに入所を決めた場合のほうが、満足度が低いことがわかります。また見学をしても不満を訴えている人が7割強ということから、入所にあたり、見学したほうがいいけれど、それで完璧かといえば否、というのが現実。 老人ホーム選び、難しいものです。 [参考資料] 株式会社LIFULL senior『介護施設入居に関する実態調査 2023年度』