米国人はなぜヤード・ポンド法を「好む」のか、実は国はずっとメートル法を推奨
メートル法への切り替え
それでもなお、「メートル法への自主的な移行は不可能ではない」というのがベンハム氏の持論だ。「自分の身近なところに存在するメートル法を探してみてほしい」と言う。「私は氷山を例えに使うのですが」とベンハム氏は続ける。「表面に出ているのは帝国単位系ですが、食品ラベルや車のスピードメーター、温度計など、多くの産業ですでにメートル法が使われています」 「最終的には、個々人が一歩踏み出して日常生活で使うと決めない限り、メートル法への完全移行は実現しない」とベンハム氏は言う。ベンハム氏が仕事では教育に力を入れ、日常生活ではメートル法に切り替えた理由もそこにある。スマートフォンの設定を変え、長さはマイルからキロメートルに、温度は華氏ではなく摂氏にしている。 「私たちにはテクノロジーがありますから」とベンハム氏は期待を寄せる。「変化は起きます。強制される場合に比べ、ゆっくりとしていますけれど」
文=Erin Blakemore/訳=夏村貴子