ハマスがテロ資金調達で暗号資産に頼っていた説は誤り:米財務省
昨年イスラエルでハマス(Hamas)がテロ攻撃を行った直後から、暗号資産(仮想通貨)は残忍な殺害に対する資金提供に使われたとして非難された。大手メディアの報道は後に暗号資産専門家からバッシングされたが、今回テロ資金提供を担当する当局のトップが議員に対し、報道が誇張されていたことを認めた形になる。
誤解を含む報道が発端
ウォール・ストリート・ジャーナルは10月、ブロックチェーン分析会社エリプティック(Elliptic)が作成し後に編集されたブログ投稿を引用して、数千万ドルの暗号資産決済がハマスやイスラム聖戦などに関連していると主張した。しかし、この説明には実際にどの資産がテロリストの手に渡ったのかについて誤解があった。 米財務省テロ・金融インテリジェンス担当次官のブライアン・ネルソン(Brian Nelson)氏は下院金融サービス委員会での証言で、「量としてはそれほど多くないと予想している」と述べた。 ウォール・ストリート・ジャーナルは、ブロックチェーン分析企業のエリプティックとチェイナリシス(Chainalysis)が反証のデータを提供したことを受けて、当初の報道を大幅に修正していた。その見直し後も、民主党のシェロッド・ブラウン(Sherrod Brown)上院議員やエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員などの議員は、国家安全保障の名目で暗号資産業界に厳格な規則を課す立法活動を支持する議論においてこのデータを利用し続けた。
テロ組織が使用する暗号資産は少量
共和党のトム・エマー(Tom Emmer)下院議員はこの日、「はっきり言っておくと、ハマスは広く報道されている金額に比べて比較的少量の暗号資産を使用している」と述べてネルソン次官に回答を促した。 ネルソン次官は「それが我々の評価だ」と答えた上で、こうした団体が他の支援方法にも目を向けていることを明確にした。 ネルソン次官は、「率直に言って、テロリストは依然として伝統的な製品やサービスを利用することを好んでいると我々も評価している」と述べた。財務省は、こうした支援を提供したとして、多くの事業会社や地方金融機関を制裁対象にしている。