阿部サダヲさん(54)業界人のみならず家族の食いつきに驚き「娘に『不適切!』と注意されるようになりました」|STORY
歌舞伎町つながりで面白いなと思っています
ちなみに脚本は、阿部さんと同じ「大人計画」に所属する売れっ子、宮藤官九郎さん。阿部さん主演の映画『謝罪の王様』やNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』などの脚本も手がけています。そして個性派俳優が揃う「大人計画」を主宰するのは、やはり作家・演出家・俳優として活躍している松尾スズキさん。一つの劇団に、幅広く活躍する作家・演出家が複数名いるのは珍しいことです。 「確かにそういう劇団は、なかなかないかもしれないですね。松尾さんや宮藤さんの作品があるおかげで、僕はいろんな映像の仕事をしながら毎年舞台もやらせてもらえて、本当にありがたいです。実は大人計画の事務所には、細川徹という作家・演出家もいて、7月には明治座の松平健さんの舞台(『松平健芸能生活50周年記念公演』)の作・演出をやるんですよ。僕も聞いてびっくりしたんですけど。宮藤さん脚本の新しいドラマ(『新宿野戦病院』)も7月に始まるので楽しみです。歌舞伎町が舞台のドラマらしいので、不思議な歌舞伎町つながりで面白いなと思っています」
毒と哀切にまみれた怒涛のダークエンターテインメント
その歌舞伎町に昨春オープンした劇場で7月に幕を開けるのが、阿部さんが出演する『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』。1991年に初演され、98年、2012年と上演を重ねてきた松尾スズキさんの代表作で、今回は台本からリニューアルしての上演となります。薬剤によって身体に障がいを持って生まれた少年“フクスケ”を巡って、歌舞伎町を舞台に毒と笑いたっぷりに展開する、哀しくも美しい怒涛のダークエンターテインメントです。 「僕は98年と2012年の公演には出ていますけど、オーディションを受けて大人計画に入ったのが92年なので、91年の初演は観ていないんです。今回出演する松本穂香さんの世代では、たぶんまだ生まれてもいない頃に書かれた話なのに、全然古臭く感じないというか、逆に今のほうがリアルに感じるんですよね。『なんかいるよね、こういう人』って感じる人たちがたくさん出てきて。僕自身、役が変わったし、新しい出演者が増えたり、松尾さんがいろいろリニューアルしているので、稽古をしていてもすごく新鮮です。前回から12年経っていて結構忘れているというのもあるんですけど(苦笑)、オープニングは前と全然違うし、音楽が新しくなって劇中曲の印象もだいぶ変わりました。三味線奏者の山中(信人)さんという方がミュージシャンとして入るので、和のテイストも加わってます。内容的にも、今回はコオロギとサカエの話がクローズアップされている感じです」