ECB、金利据え置き-インフレ低下なら6月利下げと示唆
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)は11日、5会合連続で政策金利を据え置いた。インフレ低下なら利下げが近く可能になると、これまでで最も明確なシグナルを送った。
ECBは中銀預金金利を過去最高の4%で据え置いた。ブルームバーグのエコノミスト調査では62人中1人のみが利下げを予想し、残りは据え置きを見込んでいた。政策委員会は声明で、6月に公表される最新の経済予測でインフレ率が2%に確実に向かっていることが明らかになれば、利下げする方針を示した。
声明は「インフレ見通し、基調的インフレの動向、金融政策伝達の強さに関する政策委の最新の評価で、インフレが持続的に目標に向けて収束しているとの確信がさらに強まった場合、金融政策による景気抑制の度合いを現在の水準から引き下げることが適切だろう」と説明した。
声明は、引き続きデータ次第のアプローチを取り「特定の金利の道筋をあらかじめ約束することはない」としているが、ラガルド総裁は声明発表後の記者会見で、6月に行動する可能性を重ねて示唆した。
ラガルド氏は「4月には幾つかの情報とデータが得られる」とし、「何人かの」政策委員会メンバーはインフレ低下について既に十分な自信を持っていたと明らかにした。「しかし6月には、(四半期ごとの新たな経済見通しなど)さらに多くのデータと情報が得られるだろう」と続けた。
短期金融市場は年内に3回程度の0.25ポイント利下げを織り込んでいる。ユーロは対ドルで一時0.3%安となり、2月以来の低水準を付けた。
ユーロ圏のインフレ率が低下していることから、ECBは6月の次回会合で2019年以来の利下げに踏み切ろうとしている。
米国では3月の消費者物価指数(CPI)が再び予想を上回ったことで、緩和開始がさらに先になるとの見方が強まっているが、ECBにそのような懸念はほとんどない。
ユーロ圏の3月インフレ率は2.4%と予想をわずかに下回った。基調的なインフレ圧力は依然として高く、サービスコストは依然として4%上昇だったが、今後数週間に明らかになるデータによって、根強いインフレの元となっている賃金上昇が緩やかになっていることが確認されるかもしれない。