リリー・フランキー×錦戸亮、初共演映画で「すごい」「ずるい」と称え合う 10年以上前からプライベートで親交
■リリー・フランキーが演じるだけで成立するすごさ
――さきほど、錦戸さんがおっしゃっていた、リリーさんの出演作を見て、「こんなん、ずるいな」と思う気持ちに共感します。いつも役づくりはどうされているのですか? 【リリー】監督に言われたらする。特に言われなければしない。吉田大八監督の『美しい星』(2017年)に僕が出てて、吉田監督の次の作品が錦戸くん主演の『羊の木』(18年)だったんだけど、大八さんに、「○○しておいてくれ」って言われなかった? 【錦戸】役づくりについてですか?僕は何も言われなかったです。 【リリー】僕は大八さんから「痩せといてください」って言われたんですよ。まぁ、そういうことを言われれば、するというか。自分で役づくりをしたところで、監督のイメージと沿わないのが一番良くないから、なるべく余計なことはしないでおこうと思っています。それに、これはマジな話で、ネクタイを締めて会社に行くような役をしたことがほぼないんです。たぶん、そういうイメージが僕以上に監督やプロデューサーにないんでしょうね。 【錦戸】いい人に見えて、実はめっちゃ悪い人の役とか、ニヒルに笑っているとか、そういうイメージの方が強く残りますしね。 【リリー】『アナログ』(23年)という映画で、静かにコーヒーを淹れているだけの喫茶店のマスターの役をやったんだけど、せりふもほとんどなかったせいか、「こいつ、いつか何かやりそう」ってミスリードされた人が多かったと聞きましたね(笑)。 【錦戸】そもそもリリーさんにオファーしている時点で、役づくりはいらないじゃないですか?リリーさんにやってもらうだけで成立するんだと思います。大八監督の時は、見た目ちょっと痩せてたらうれしいなみたいなことだったんでしょうね。 ――パトリック監督からは何かありましたか? 【リリー】パトリック監督はなかったですね。台本はあくまで設計図で、台本が全てじゃないと言っていたし、それぞれの役を演じる俳優自身から出てくるものを待っていた感じ。錦戸くんの慧はまさにそういうことなんだと思う。