ワンオフのフェラーリ「SP30」が約3.5億円は安すぎる!? 差し押さえ物件の悲運な「599GTO」ベースの「488」顔の跳ね馬とは
エアロパーツからは599XXのフォルムがうかがえる
今回出品された「SP30」は2011年に発表されたモデルだが、そのデビューにメディアのスポットライトがあたることはほとんどなかった。アラブ首長国連邦を拠点とするインド人カスタマーがそれを嫌ったというよりも、彼は納車の直後に巨額の債務不履行で現地当局と対立。SP30は差し押さえのうえ清算され、アメリカへと渡ったからだ。 ベースが「599GTO」という、それだけでも十分にコレクターズアイテムとなるSP30には、「458イタリア」のヘッドランプと「599」のテールランプが備えられ、ウイングレットとエアロパーツからは「599XX」のフォルムが想起させられる。ボンネットは後の「F12tdf」に大きな影響を与えたことは間違いないところだ。リアフェンダーのボトム部には、フェラーリ・デザインのエンブレムも備わっている。 インテリアのフィニッシュもワンオフモデルならではの豪華さだ。599GTOのシートやダッシュボード、ドアガードはグレーのアルカンターラで覆われ、レッドのカーボンファイバートリムやアクセントが、カーペットレスの処理とともに、このモデルのパフォーマンス・キャラクターをイメージさせている。フロントに搭載されるエンジンは、もちろん伝統のV型12気筒自然吸気。6Lの排気量から670psを発揮する。 参考までに現在までの走行距離はわずか121マイル(約194km)。ナビゲーション・スクリーンのプラスチック・フィルムに至るまで、新車同然のコンディションを保っている。それだけにはたしてSP30がどれだけの価格で落札されるのかには大きな注目が集まったが、やはりそのバリューは大きく、最終的な落札価格は229万6000ドル(邦貨換算約3億5000万円)という数字で落ち着いた。一説にはその製作には、数億円という予算が必要だというフェラーリのワンオフモデル。もしかするとこの落札価格は、けっして高いものではないのかもしれない。
山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)