【ボートレース】「定松は確実に僕を超える逸材」峰竜太がSG・グランプリ前夜に明かした「愛弟子・定松勇樹との絆」
チャンスを物にする力がある
定松は若い時から才能が目に見えていて、強くなるとわかった瞬間、「俺はお前が強くなるまで何も教えないから自分でここまで来い。そうしたらナンバーワンのなり方を教える」と伝えました。あいつはそれを信じてずっと今までやっていますね。 彼は確実に僕を超えていく逸材なんです。大器を持っている。スター性って実際、大事な時に結構出て、僕もあった方だけど、定松はチャンスを物にする力が確実にある。 でも定松がSGオールスターで優勝した時は嬉しくて、自分の時とは違う感動がありました。定松をはじめ弟子のような存在がいることはすごく光栄に思えます。「憧れてついていきます」と言ってくれて、自分が言ったことを100%信じてくれることに感動する。 頑張ってほしいとは思うけど、大事な一戦でフライングしたり、ケガをしたりすると、ものすごいチャンスを失うわけですよ。優勝しなくても、6着とかでも良い経験だったといえるけど、フライングとケガだけは大きなリスク。「頼む! こいつはスターになる男だから、神様それを邪魔しないでくれ」って思ってましたね。 優勝してほしいけど、最悪それだけは避けて、こいつからチャンスだけはとらないでくれって。そんなふうに願ってたかから、もう親心ですよね。かわいすぎて。自分のときにはそういうこと考えないんだけどね。
しんどい思いも「財産」になる
本当に大事なことを伝えるために、他の小さなことはカットしています。弟子たちはいっぱい学ぼうとたくさん聞いてくるけど、あえて言わない。 定松の場合で覚えているのは、僕がSGに失敗した時に気づいたことを伝えようとずっと思っていたこと。定松がSGの1号艇に乗ったら、僕がそばに行って伝えてあげたいと思っていて、実際にそのシーンが来たんです。 本番5分前ぐらい、あいつめちゃくちゃ緊張してるんですよ。「サダ緊張してるか?」と聞いたら、「めっちゃやばいですよ。もう早く終わってほしいですよ。しんどいです」とか言っている。 「すげえ嫌な気持ちは俺も分かる。何回もやってるから。でもただ俺が一つお前に伝えたいのは、今からお前が結果、成功しようが失敗しようが、その結果までの経験だったり苦労だったり、このしんどい思いとかがお前を強くしてくれるから。いまこの瞬間があったから自分は強くなったときっと思える。そこから逃げるな」と伝えました。 「優勝したことじゃなくて、ここまで乗り切ってきたことがお前の財産なんだから心配するな。もうお前は十分すごい財産を得てるから大丈夫」と話したら、それがすごい助けになったと言っていましたね。 * 1年後のグランプリこそ師弟そろって優勝戦へ。今後も2人の活躍に目が離せない。 (取材/佐藤太志)
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