J1昇格プレーオフを勝ち抜くチームはどこだ! 破壊力ある長崎が一歩リードだが...
しかしながら、一発勝負の昇格プレーオフは"違う大会"と言える。実際に過去のプレーオフでは、6位チームが勝ち上がった例が2度もある。ほか、3位が勝ち上がったケースが3度で、4位が2度。5位は1度もないが、どこが勝ち上がってもおかしくない。 長崎と準決勝を戦う仙台にも、勝機はある。仙台は森山佳郎監督の就任で連帯し、"勝負強さ"を身につけた。最終節、劣勢ながら大分トリニータを下した一戦は象徴的だろう。MF郷家友太は試合経験を重ね、今や頼もしい存在だ。 ただ、仙台は大分戦の前の熊本戦は敵地で先制したあと、イニシアチブを取られている。結局、1-3と逆転負け。この足踏みがなかったら、長崎との準決勝を回避できたかもしれず......。 もうひとつの準決勝、山形、岡山の攻防は、下馬評では「9連勝中の山形有利」となっている。 山形は、MF土居聖真、FWディサロ・燦シルヴァーノを夏に緊急補強したことが、功を奏している。火力不足だった攻撃が活性化。守備はもともと組織ができていただけに、急浮上した。 とはいえ、最終節は11月10日。勢いの話で言えば、約3週間も経過している。しかも、多くのシュートを打たれていた試合も少なくなく、相手を圧倒していたわけでなかったのが実状だ。 一方で岡山は、横浜FCに次ぐ少ない失点数で、守備力の高さを活かせるか。特にGKスベンド・ブローダーセンはJ2では傑出で、今シーズンのベストGKと言える。 ただ、得点数はリーグ10位と昇格を争うには非力。引き分けは負けを意味し、守りを固めるわけにいかない。どこかで強度を高めて先制点を奪い、逃げきる戦略になるはずだ。 長崎が昇格レースを一歩リードしているのは間違いない。しかし、仙台は乾坤一擲で挑むだろうし、山形は破竹の勢いを味方にできるか。岡山もラッキーボーイの出現次第で、GKが最高の盾となる。 今年も混戦からドラマが生まれそうだ。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki