【若年性認知症】なりやすい人の特徴は? 今からできる予防法を介護福祉士が解説
若年性認知症の初期症状は?
編集部: 家族の若年性認知症に気づくにはどのような初期症状に気を付ければよいですか? 青木さん: 若年性認知症の初期症状として、怒りっぽくなることがあります。認知機能の低下により、理解できないことが増えてイライラしやすくなるためです。また脳の機能が低下することで、自分の感情をコントロールできなくなるともいわれています。怒りっぽくなる以外には「もの忘れが激しくなる」「職場や家事でミスが増える」「何事にもやる気がでない」なども初期症状としてあらわれる場合があります。家族であれば、本人よりも早く異変を感じるかもしれません。おかしいと感じた場合は、専門医に相談しましょう。 編集部: 若年性認知症の病気の進行速度は高齢者の場合と同程度ですか? 青木さん: 若年性認知症は高齢者の認知症と比較すると、進行が早いといわれています。40代で発症すると高齢者の2倍以上にもなります。そのため若年性認知症は、健康なうちから予防に努めることや、発症した際の早期の治療が重要です。 編集部: 若年性認知症の初期症状が疑われる場合、どの科を受診すればよいですか? 青木さん: 若年性認知症が疑われる場合は、「もの忘れ外来」がおすすめです。若年性認知症の初期症状では、うつ病や精神疾患などと混同されやすく、診断も容易ではありません。そのため、認知症の専門医に相談しましょう。
若年性認知症の予防・対策方法
編集部: 若年性認知症の予防方法を教えてください。 青木さん: 若年性認知症の予防には、生活習慣を見直すことがポイントです。適度な運動、バランスのとれた食事、そして喫煙者の方は禁煙をおすすめします。喫煙は動脈硬化や高血圧の原因です。血管性認知症のリスクを下げるためにも禁煙をおすすめします。基本的には生活習慣病の予防が、若年性認知症の予防になります。 編集部: 若年性認知症を発症した場合、仕事は辞めなければいけませんか? 青木さん: 若年性認知症を発症した場合でも仕事を続けることは可能です。仕事を続けるために、障がい者雇用枠を利用する方法もあります。仕事の仕方については、上司や人事担当者、産業医と相談しベストな働き方を模索しましょう。一方、若年性認知症を理由に退職すると、経済的に困窮する要因になりかねません。可能な限り仕事を続けられるように、企業と調整することが大切です。 編集部: 若年性認知症の方が受けられる支援サービスを教えてください。 青木さん: 若年性認知症の方は、高齢者向けの支援サービスを受けることができます。例えば、デイサービスやショート、入所施設などの介護サービスです。しかし高齢者向けの施設のため、ほかの利用者と馴染めずに継続して利用できないことも多くあります。そのため若年性認知症の方が介護サービスを利用する際は、若年向けの施設がおすすめです。数は多くありませんが、首都圏などを中心に若年向けの施設も増加しています。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 青木さん: 若年性認知症は、「仕事を続けられるのか」や「家族に迷惑をかけるのでは」など、現役世代ならではの怖さがあります。健康なうちから生活習慣を見直し、発症リスク低下に努めましょう。また若年性認知症は早期に治療することで、進行を遅らせたり、症状を緩和したりできます。ただし、初期症状はうつ症状と似ていることもあり判断が難しいのが難点です。もの忘れや仕事や家事でのミスが頻発するようなら、専門医を受診するようにしましょう。 編集部まとめ 若年性認知症とは65歳未満の方の認知症です。高齢者の認知症と若年性認知症は症状や要因は同じですが、若年性認知症は進行が早いという特徴があります。働き手が認知症になってしまうと、家族を養うことも難しくなるかもしれません。そのような事態を避けるために、適度な運動やバランスのとれた食事といった健康的な生活習慣を送りましょう。生活習慣病の予防は若年性認知症だけでなくさまざまな疾患の予防にもつながります。
【この記事の監修介護福祉士】
青木 崇 介護福祉士 大学卒業後、5年間ECショップ運営に携わる。その後介護の仕事に興味を持ち転職、現場で働きながら介護福祉士を取得し、障がい者支援・高齢者支援に10年間携わる。これらの経験を活かし、現在は介護関係・EC関係の記事を執筆するWebライターとして活動中。
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