「自分の時間ない」「寝られない」…子育てって負のイメージばかりだったけれど 高校生たちが育児中の母親たちと交流して考えたこと
長野県の飯田下伊那地域の高校生が、小さな子どものいる母親らと子育ての魅力について話し合う「高校生の子育てイメージアップ大作戦」と銘打った企画が、飯田市上郷公民館で行われた。同市の飯田女子高校3年後藤咲季さん(18)=飯田市=が、授業で取り組む「探究活動」の集大成として主催した。苦労が多いイメージで語られることも多い子育てについて、高校生が母親らに次々と質問し、意見を交わし合った。 【写真】生理痛を疑似体験した男性。痛さに顔をゆがめる
子育ての魅力は?
飯田女子高など同地域の3校の生徒14人と、市内の子育て支援拠点を利用する親子ら6組が参加した。高校生から「子育ての魅力は?」と率直に聞かれた母親の一人は、「子どもの成長を一番間近で見られること」と返答。別の母親は「できることが日に日に増えて、顔つきも変わっていく。赤ちゃん自体が魅力の塊」と伝えた。
企画のきっかけはボランティア
今回の企画は、後藤さんが2年生だった昨年夏、子育て支援拠点でボランティア体験したことがきっかけとなった。当時、子育てに「自分の時間が取れない」「子どもの世話で寝られない」といった負のイメージを抱いていた後藤さん。支援拠点を利用する親が自らの息抜きではなく、子どものために遊びやすい環境を求めて集まっていることに気付いたという。高校生と子育て中の親世代で、子育てへの意識にずれがあると感じ、直接対話する機会を設けたい―と考えた。
「自分の中高生のころは…」
3歳と生後2カ月の姉妹を連れて参加した宮本真代さん(27)=飯田市=は「自分も中高生のころは、子育ては大変という印象しかなかった」と回想。「実際の経験を直接伝えられる機会は少ない。子育てに前向きな考えを持つ高校生が増えてくれたらうれしい」と話した。
「自分の親にも感謝」「楽しさ伝わってきた」
「お母さんたちは、子どものことをよく考えて向き合っていると感じた。育ててくれた自分の親にも感謝したい」と阿智高校(阿智村)3年の永井星夢さん(18)=同=。後藤さんは「わが子について話すお母さんの表情から、子育ての楽しさが伝わってきた。中高生が子育てについて学ぶ機会が少ないことも、負のイメージを抱きやすい理由ではないか」と実感を込めた。